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>>47 > みさき荘 俺が小学六年の時に、場所は忘れたが家族全員揃って海水浴に出かけたんだ。 一泊の予定で泊まった民宿の名は今でもはっきりと憶えている。 宿名を「みさき荘」といった。 古い建物だ。 いくらシーズン中で部屋が取れないとはいえ、こんな何十年前から建っているのか分からないボロい民宿に決めるとは、さすがに俺の親父だなと今になって思う。まあ、ペットOKの宿がそこしか無かったのかも知れないが。 しかも思い立ったら即行動という親父の計画が裏目に出たのか、その日の海は大荒れでとても泳ぎに出れる波では無かった。 さすがは俺の親父だ。 「 あーあ、もう最低!!」 窓から見える高波に癇を発し、妹の美菜が拗ねてブラウン管テレビのチャンネルを回した。 ガチャガチャガチャガチャ 『 あーーー(´Д` )!いくーーー!!』 なんという事か、突然俺達家族の目の前で、裸の男女が繰り広げる18禁映像が残酷にも鮮明に移し出されたのだ。 『 あーーー(´Д` ) あ、あ、あ、いく、いく、いっくーーー!!!』 チャンネルを回していた美菜の右手はショックの余りカタカタと震え出し、目を見開き、大きな口を開けたままで固まってしまった。 無理も無い。 小学校に上がったばかりの純真無垢でいたいけな少女が、目の前で繰り広げられるこんな卑猥な映像に耐えられる訳もない事はあのジミー大西氏でも分かる筈だ。 しかし有料チャンネルの筈が一体何故…? 一つの疑問が残る。 恐らく前の宿泊客が金を入れたまま帰ったのか、単にテレビの故障なのかは残念ながら今もって解けない謎だ。 「 お、おまえ達は部屋で遊んでいなさい… 絶対に外にでるんじゃないぞ! お、お父さん達は風呂に入ってくるからな!」 親父はバツが悪そうにそう告げると、母親を連れてそそくさと部屋を出て行ってしまった。 『 あーーー(´Д` )!!いく、いくう、あっはーーーん♡』 …プツン!! 便所へ行っていた夏美がいつの間にかテレビの側に愛犬マモルを抱っこしながら立っており、ニヤニヤしながら電源のツマミを押した。 「 兄貴ー、私知ってるよw この人達ってエッチな事してたんだよねw」 この美菜と同じ顔をした夏美は、双子の姉の方にあたる。美菜とは少し性格が違い、負けん気が強く、やたら喧嘩も強く、曲がった事が大嫌いな武闘派だ。 多分、親父の血を多めに引き継いでいるのだろう。 「 おい夏美!そんな事より美菜を運ぶの手伝え!」 美菜は先程のショッキング映像のせいで、正座をしたまま気を失っているようだ。目が逝っている。 カビ臭い布団を引き、よいこらしょと二人掛かりで美菜を運んでいると、一階の方から親父の怒号が響いてきた。恐らく宿主に文句を言っているのだろう。 … 「 あーあ、折角海に来たのになんか勿体無いなぁ… 」 夏美が窓の外を見つめながら溜息をついた。 ここから見える海は相変わらず荒れており、空は灰色で小雨がパラパラと舞っている。風も強いようで窓の隙間からピューピューと音が聞こえる。 「 ねぇ海行こうよ兄貴!泳がなかったらいいんでしょw?」 「 ば、馬鹿かお前?!親父に見つかったらシバかれんのは俺だぞ!駄目に決まってんだろ!」 「 はぁ?何ビビってんのよ兄貴w 大丈夫だよ、ちょっとだけだから!お父さん達がお風呂上がってくるまでに帰るからさ!ね、お願い!」 「 だから無理なんだって!しつこいんだよお前は!さっき部屋から出るなって言われただろ!」 俺は幼い頃から親父のゲンコツの威力を体で覚えさせられていた為に、夏美のこの暴言は命を張ってでも止めなければならなかった。しかし… (*`へ´*) そこには指をポキポキと鳴らしながら、現役時代の的場浩司並みのガンを飛ばしている夏美がいた。 【続く】
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