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>>4 > ランタンの光度を最小にして寝袋に潜り込む。 酔いも手伝い、あっという間に睡魔がやってきた。 薄れ往く意識の中… (なんだ!?) 激しい雨音にまぎれて意外な…それは、あまりに場違いなものが鼓膜を震わし、 俺の眠気が一気に吹き飛んだ。 「誰だ?こんな夜中に念仏なんか唱えてるヤツは?」 Aさんの声…そうだ、念仏だ…確かに聞こえる… 寝袋からBも顔を出し、聞き耳を立てて様子を窺っている。 全員が…雨音に掻き消され…途切れ途切れの念仏を聞いていた。 「ここからは少し遠い…な」 「仏教はまるで詳しくはないが…あれは念仏だと思う…」 少しずつ声が大きくはっきり聞こえるようになってきた。 近づいてきている…深夜のキャンプ場を雨の中…念仏を唱えながら歩いてくる人間… 声…若干のズレがある…いくつもの声が被っている… 一人ではなく複数で唱えている… 雨が降る闇の中、念仏を唱え一列縦隊で進む笠に墨染め…僧形の集団… 脳裏に浮かんだ不気味な光景… そこに、俺達のいるテントのすぐ近くで沁み入るような鈴の音… 激しい悪寒が全身を襲った。 思わず両手で身体を抱きしめるようにして擦り、 冷気を払おうとしたのだが余計に寒さが募る。 マイナス10度まで使える寝袋の中で強烈な寒気を感じている。 なんだ…あの、鈴の音… 息を吐けば白くなるんじゃないだろうか。 悪寒だけじゃない…気温が急激に低下している…まだまだ下がり続けている。 目の表面が渇いて開けていられない。 鼻の奥がつんと痛くなる。 口の中がカラカラに渇いて… 耳が、聴覚だけが雨中の…周囲の音を拾い…脳に絶えず情報を送り込んでくる。 ぬかるみの中…泥濘を蹴立て…近づいてくる足音… 朗々と唱えられる念仏… キャンプ場の入り口付近…
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