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>>6 > 「そろそろ車へ戻ろうぜ」 俺はAさんとBに声をかけたが、聞こえてないみたいだ。 肩を叩くと、びくりと身体を震わせ、二人は我に返る。 湖に魅入られていたようだ。 長く深い溜息がご両人の口から吐き出される。 「おかしいな、今まで傾いてはいても太陽はしっかり空にあったよな? なのに、もうすぐ日没だぜ?一気に時間が進んだみたいだ」 周囲の景色も湖水も赤黒い闇色に染まっている。 外灯なんてない…夜が間近に迫っていた。 急いで車に戻らないと… Aさんを先頭に早足で湖を離れることにした。 「この周辺で宿営地を決めなくてはならなくなったな。 車を停めたところでテントを張るのだけは勘弁だ」 「できればキャンプ場があればいいですね…熊が怖いし」 「この辺りの農家に頼み込んで 納屋か軒先でも借りるくらいしかないでしょう」 「じゃあ、早足で車まで戻るぞ、転ぶなよ!」 最後に、闇の中の湖をもう一度見ようと…振り返ってみた。 湖岸から5mも離れただろうか… 湛えた水がぼうっと青く光っていた。 燐光のように…仄かな…動いている…風も無いのに…何が… 「Aさん!全速力で走れ!車まで絶対に止まるな!!」 「!?」 「奴らが浮き上がってきた!!」 俺が見たのは 水の中に並んでいた…夥しい数の人や動物…異形の化け物が、 一斉に水面へ顔を出したところだった。 「だめだ!絶対に振り返るな!恐怖で足が竦まされるぞ!!」 俺達の旅は…始まってまだ二日だが ずっと…怪異に見舞われていた。 出なかったのは苫小牧市内にある民宿へ泊まった、上陸した晩のみ… フェリーに乗り込む前…下船した港で… 苫小牧から富良野へ向かう踏み切り… それから昨夜泊まった富良野のキャンプ場… 「また…今日も怪異と遭遇し………なの…か…」
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