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>>5 > 「熊…鹿…狐…鳥とかも…人間だけじゃなく動物もいるぞ」 「全部、死体なの…か?」 「生きているようには見えないな」 「湖に落ちた連中が溺れ死んだあと 水温が低くて死蝋化した…という訳でもないな」 「アシカかオットセイみたいなのもいるぜ?トドみたいなものも」 「まるで標本として綺麗に陳列されている…ような…」 確かに、水中に整然と立体的に並べられている…ようにも見える… 「それが事実として…誰が、何のためにしているのか…」 青い水を湛える底知れぬ深い湖の中に… 北の大地…北海道に棲む全ての生物が集められているのではないか… 嫌な予感がする… 北海道…アイヌ民族はこの地をアイヌモシリ(人間の住む土地の意)と呼び、 古代から近代までの本州に住む人は蝦夷地、北州、十州島と呼んだ… 明治政府からは五畿七道の呼称に倣い北海道と名付け今に至る… 沖縄と同じで本土とはまるで違う文化を持ち… アイヌという先住民が築いてきた神話体系もある… 「なあ、変なのもいるな…あそこに脚が五本のオオカミみたいなのがいる」 「双頭の狐や、三つ目のヒグマもいるな…なんだあれ?奇形種とか突然変異か?」 「ウェン・カムイかも知れない…簡単に言うとアイヌ神話に登場する悪神だな」 カムイ…八百万の神と同じく全てのものに神性が宿るという考え… しかし、それとは根本がまるで違う… 出発点が違う…似て非なる… 悪神とウェン・カムイもまた… 「どんだけいるんだ水の中に…」 夥しい人や動物が湖の対岸までずっと続いている。 これらを標本として収集した奴がいるなら… ここを維持し管理する奴がいてもおかしくない。 背中をゾクッと悪寒が走った。 立ち上がって深呼吸を数度繰り返す。
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