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>>44 > 麗子OF THE DEAD 今夜は月が綺麗だ。 昼間の茹だる様な暑さがまるで嘘だったかの様に、この山の高台はヒンヤリとして解放的で涼しい。 俺は自宅から車で三十分程離れたとある外人墓地にいた。海に面しているせいか、潮の香りが混じる突風が時折ザワザワと周りの木々をしならせながら、この異様な雰囲気を更に盛り上げてくれている。 「やべ、充電20%きってんな…」 パシャリ! 目下に広がる綺麗な夜景を写真に数枚収めた後、俺は心の中で軽く覚悟を決めた。 振り返るとやはり先程と同じ光景… 俺の愛車クラウンの中で怯える香織と龍。 麗子はといえば長い黒髪を振り回しながら、ロックされたドアをこじ開けようとバンバン車体を叩いたり、何語か分からない言葉で喚きながらノブをガチャガチャさせている。 怖い…正直… 突如、豹変してしまった麗子。 原因は分かっている。 外人墓地に「出る」と云う噂を聞いた俺達は、真夏の深夜にわざわざこんな所まで肝試しに来たんだ。 しかし車で周辺を軽く見て回ったものの、比較的街灯の多いこの墓地は洋式の四角い墓石がただ規則正しく並んでいるだけで、これといった異変も怪現象も起こらなかった。 すると苛ついた龍が、事もあろうにその墓石の中の一つに中指をおったてながらジョロジョロと小便を引っ掛けてしまったんだ。 慌てて止めに入った麗子だったが、突然胸を抑えながら苦しそうにしてうずくまり、一転ゲラゲラと笑い出したかと思えば、その墓石の前の土を素手で掘り始めた。 実はもうその時から麗子は何処の国の言葉か分からない、理解不能な叫び声を上げていたよ。 突然の事に呆気に取られている俺達はどうする事も出来ずに唯その光景を暫く眺めていたが、龍が麗子の名を呼んだ瞬間、土を掘る手がピタリと止まり、此方を振り返ったんだ。 誰だよお前? 俺の心の声だ。 まるで別人としか言いようがない程に麗子の顔は変形していた。 細かった筈の目はこれでもかと見開き俺達を睨みつけ、口からは涎と共に大量の泥がボタボタと滴っている。喰ってたんだよ、泥を… 次の瞬間、体に大きなバネでも入っているかの様にビヨン!と跳び上がった麗子は、あーあーと奇声を発しながら此方へと向かって走って来た。 恥ずかしながら腰を抜かしてしまった俺はその場から動けなかったが、香織と龍はあの走塁王「福本豊」顔負けのダッシュでクラウンへと逃げ込んだ。 狙いは小便を引っ掛けた龍の様だ。 何故なら麗子は座り込む俺に見向きもせず、二人の後を追ってクラウンのボディをバチバチと叩き始めたからだ。 買ったばかりの新古車、一般人の夢クラウンをバチバチと…たまに鋭い蹴りも何発か入っている。 正直、俺は麗子の変貌ぶりや龍の身の安全よりも愛車クラウンがとても心配だった。白のボディーが泥で汚され、ミラーが飛び、車体が変形していく様をとても直視出来なくなった俺は、ブラックメンソール1ミリを吹かしながらパノラマに広がる綺麗な夜景に目を移したといった所だ。 すまん、前置きが長くなってしまったな!! しかし、この続きを書くのはまた後日、暇が出来てからにしようと思う。 何故なら酒が回って少し眠たくなってしまったからだ!明日も早いので次回を楽しみにしていてくれ! 【続く】
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