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>>3 > それはともかく、 無事、目的地でAさんと会うことが出来た。 テントを張って寝場所を確保し、市内へ出掛けて晩飯を食い、 キャンプ場近くに温泉施設を見つけて一日の汗と疲れを流した。 時間は午後八時…ちょいと早いが寝るとするか… とは行かないのが野郎だらけの野営である。 「おつかれ〜!」「おつかれ〜!」「おつかれ〜!」 なみなみと酒が注がれたコッフェルをぶつけ合って乾杯し、 北海道上陸を果たした夜は出来なかった酒盛りを開始した。 肴は乾き物と缶詰だったが、今晩の主役は弩級のヤツだった。 昼間、思いがけない事で手に入れた銘酒『北の勝』を座の中心にドンと置く。 根室と釧路で全生産量の8割が消費されるという本州ではほとんどお目にかかれない幻の酒。 「見せてもらおうか、北海道が育んだ日本酒の味とやらを!」 どこかの赤い人みたいなセリフを吐くAさん。 俺は一升瓶の腹を指で弾き、オデッサの基地指令な声でBに問う。 「いい音色だろう?」 「は…、良いモノなのでありますか?」 「碓氷勝三郎商店だよ」 「マ様キタァアアアアア!!」 三人一息でコッフェルの中味を飲み干し、酒壜を奪い合うようにして自分の器へ酒を注いでいく。 飲む前から出来上がっていた。 富良野市内の洋食屋で黒いカレーと手作りソーセージを食いながら 黒ビールを中ジョッキで三杯乾してきたからな。 宵の口から始まった飲み会は深夜に及んだ。 途中から降りだした雨は日付が変わった頃からテント地を激しく叩きつける大雨となる。 「すごい降りだな」 「雨水を流す溝はテントの周りに掘っておいたが…これじゃ効かないかもしれないな」 雨が激しさを増すに反比例して口数が減っていく。 酔いも廻ってきていたが、雨音を聞きながらしばらく飲んだ。 午前一時を回って、Bが豪快にコックリコックリと船を漕ぎはじめたので 酒宴はお開きにして寝ることにした。
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