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>>3 > そして、後日談。 というか答え合わせかな? 赤ん坊の姿が偽物で、中身は母親の情念だと気付いた時、六佑は思い至ったらしい。 ありかちゃんの中にあるものもまた、母親のみに由来していると。 どうしても産まれたい子どもそのものではなく、子どもを産ませたい母親が作り出した、紛い物の赤子だったという訳だ。 ひよこのマスコットは、丁度いい媒体になったというところだろう。 では何故、産ませたいのか。 それは、自分が産んでやれなかったからではないのか。 産まれなかった子どもが苦しんでいるとの思いに、囚われてしまっているからではないのか…。 そう考えての、あの一連の発言だったらしい。 「気休めだけどな」 あの世や生まれ変わりがあるかどうかなんて、俺にはわからないと六佑は言った。 中央公園のレイプ事件。 思い返してみると、確か被害者は最終的に自殺している。 レイプ自体の心の傷が原因だろうという認識だったが、もしかすると、その時できた子どもを堕ろした罪の意識がそうさせたのかもしれない。 自分を傷付けた男への憎しみよりも、どうしても産んであげられなかった我が子への想いが勝ったのだとしたら…。 母と子の繋がりは尊いなと、俺は思った。 まあ、今回の母親が彼女だったとは限らないし、真相は結局のところ闇の中だ。 「お、ふたりとも。先日は助かった。どうもありがとう」 学食のお決まりの席にありかちゃんがやってきて、深々と頭を下げた。 手には山菜うどんと水の乗った盆を持っている。 ありかちゃんは学生でもないくせに、何故か毎日ここの学食で昼を食べるのだ。 座れば、と六佑が引いた椅子に素直に腰掛けるありかちゃん。 「特に六佑。倒れたから心配したぞ。もう何ともないか?」 そう言って顔を覗き込んだもんだから、六佑が盛大に噎せた。 これは大変だ、とありかちゃんが背中を叩いて、余計に悪化している。 荒い息の下、涙目で「あ?」とか凄んでも怖くないぞ、幼馴染みよ。 なんとも平和ないつもの光景を横目に、俺はまったりと塩ラーメンを啜った。 はいはい。 恋には障害が憑き物ってか。うん、爆発しろ? 例のひよこがキレイに洗われて六佑の部屋に飾られていることをバラしたら、本当に爆発するかもしれないが… 今はまだ、黙っておいてやることにした。 (了)
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