怖い話投稿板

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怖い名無し
屋久島
始まりは一本の電話からだった。


僕は先島諸島のある島のレンタカー屋で働いている。 

僕は もともと島に住んでいる『シマンチュ』ではない。
島に移住してきた『シマナイチャー』だ。


現在は格安の古〜い武家屋敷に一人で住んでいる。 正確に言うと…
格安物件に、つき物の幽霊と同居しています。
幽霊と言うか豚の妖怪なのですが(汗


そんな僕に彼女がいるのです! 脳内でも二次元でもありませんよ!!

まだ島に来たての頃、東京から旅行に来たAさんと言う女の子と知り合い、ストーカー顔負けのメール攻撃でゲットしました。

現在もAさんは東京に住んでいて遠距離恋愛なのです。
Aさん改め綾ちゃんの顔は芸能人の…
彼女自慢は止めときますね。

そんな綾ちゃんが9月に夏休みを取って来るそうです。 
綾ちゃんのお兄さんは某飛行機会社に勤めていて、空席があると家族は飛行機がタダで乗れるのです。

まだ2ヶ月以上もあるのに もう何も手につきません。
僕の同居妖怪の『ンギー』はムスッとしています。
『ンギー』は彼女には見えないので、存在を伝えてませんが、『ンギー』は綾ちゃんをライバル視しているのです。
と言う事は『ンギー』はメスなのでしょうか?


それから何週間が経ったある日、綾ちゃんから電話が有りました。
綾「当たった!当たった!」
僕「綾ちゃん、、、何が」
綾「宝くじ!! 10万円!!」


続く
12/20 16:23
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▼[1]怖い名無し
続き

宝くじが当たった!

その電話で急遽、行き先が変わった。

僕と綾ちゃんの中間くらいで会おうとなり、それなら屋久島なんかどう?となり、目的地が屋久島に変更になった。

恥ずかしい話 島の収入では飛行機代は出せず、宝くじの当選金から出して貰う事になった。



綾ちゃんは屋久島は初めてだそうだ。
僕は何度か行った事があり知り合いも多い。


島に来てから初めて先島圏から出る。 綾ちゃんに会えるのも楽しみだが先島圏から出るのも、すごく嬉しい。


そして出発の日、重いバックパックを担ぎ屋敷を出る。
以前 近くの島に遊びに行った時、『ンギー』は着いて来なかった。 どうも この島からは出れないようだ。
当然今回も置いてけぼりだ。

仕事で1日の大半を過ごす空港へと向かう。 空港には顔馴染みばかり。
バックパックを背負ってる僕を見るとみんな駆け寄ってくる。
「マコト 島から出るのか!?」
僕が島を去ると心配してくれているようだ。
島の人は一回も島から出ず一生を終える人は少なくない。
飛行機に乗ると言うのは島を捨て都会に行くという意味合いが強いのだろう。  
いつの間にか僕も島の一員になっているのだなぁと涙が出てきた。

鼻声で「旅行に行くだけっさぁ すぐ帰って来る」と言うと「アギジャビヨー」「ダッカラヨー」「アガヤー」と島特有の返しがくる。

「ナイチは物価が高いから」といって、皆 ポケットにある小銭を餞別にと僕に握らしてくれた。
金額は大した事は無いが心意気に更に大粒の涙がこぼれる。


これは島にはないマクドナルドやケンタッキーをお土産に買って来いと言う事だと後で知る事になる。

泣いた僕は恥ずかしい。

続く
12/20 17:35
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▼[2]怖い名無し
続き

1日早く鹿児島入りした僕は鹿児島港の前の芝生の広場で野宿した。 

ここは、沖縄やトカラ列島に行くフェリーを待つバックパッカーがよく野宿をしている場所だ。 

翌朝、空港に行くと綾ちゃんは、すでに到着していた。

先に書いたが、綾ちゃんのお兄さんは飛行機会社に勤めていて家族は空席があればタダで乗れるのだ。

夕方の便が空いてるが確実に乗れる保証はない。
朝一から空港でキャンセル待ちしていたそうだ。

運良くキャンセルが出たので予定より早く着いたのだ。

感動の再会の様子はただのノロケになるので割愛します。


港に移動し高速船トッピーにて屋久島に行く。

今日から十日間屋久島で過ごすのだ。

島での足は調達済みだ。
以前来島した時、友達になった『モッチョム』さんに車を貸してもらう。

モッチョムは勿論本名ではない。
屋久島の山の名前だ。
その山の近くに住んでいるので今回 仮名に使う事にした。
※18歳以下の方は間違ってもモッチョムを検索しないで下さい。 



港に着くとモッチョム夫妻が出迎えてくれた。

モッチョムさんは結構いい歳なので仕事はしていない。
「今日はウチでゆっくりして明日、山に登りなさい」

まだ昼過ぎなので、ドライブがてら一周を遠い方回りでモッチョムさんの家へと向かった。
島の西側 西部林道を通ると可愛い屋久鹿や屋久猿と出会う事ができた。
綾ちゃんは「可愛い 可愛い」と喜んでいた。

家に着くとモッチョムさんのお友達が集まっている。 庭にはバーベキューの準備がしてある。
僕らの為に用意してくたのだ。

島の人は集まって酒を飲むのが大好きだ。 それはどの島でも変わりないようだ。



続く
12/21 01:20
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▼[3]怖い名無し
続き


モッチョム夫妻以外知らない人ばかりだが、すぐ打ち解けられた。
僕も綾ちゃんも そうゆうのが得意なのだ。

バーベキューは地元の食材をふんだんに使っている。
というか島のモノしか無い。

少し硬いけど噛めば噛む程 味が出るような この肉は何だろう?
「鹿だよ」
車に弾かれて死んでいた屋久鹿だそうだ…
その人 曰わく
「肉は人間に近くなるほど美味い」
鶏より豚、豚より牛が人間に近いんだと。
鹿はどこに入るのだろう。 僕的には結構美味しかったが‥

でもさっき見た可愛い屋久鹿を思い出すと食べれなくなった。

綾ちゃんも箸が止まっている。

どんどん食えと皿に肉を盛られる。
失礼だが食べる気にならない。

「これは鹿じゃないよ めっちゃ美味いから食べてみなさい これは肉の中で一番美味い肉だから」
モッチョムさんに勧められ食べてみる。

美味い! 劇的に美味い! 確かにめっちゃ美味い肉だ!
今まで食べた事の無い味だ。 少し癖はあるけど、堪らなく美味い!

綾ちゃんも気に入ったようだ。
何の肉か聞くと牛肉だと言っていたが 明らかに違う。
何度聞いても答えは同じだった。


明日は日の出前に登山に行くので、早めにお開きになった。

綾ちゃんはあの肉は何なんだろ の話をしながら、あっと言う間に寝てしまった。
朝早くからの移動で疲れていたのだろう。

僕は「肉は人間に近いほど美味い」という言葉を思い出した。
まさか あの肉は!!!
僕も疲れていたのか気を失うように眠りについた。


翌朝目覚めると綾ちゃんがいない。
台所に行くとモッチョムさんの奥さんと仲良く料理を作っていた。

朝食を済ませ出発だ。
今日は縄文杉を見に山を登る。
奥さんにお礼を言い、モッチョムさんの運転で登山口まで送ってもらう。
車内で昨日の肉は何だったか尋ねた。
何故だかすんなり教えてくれた。
僕の予想通りだった。 人間に近い肉が一番美味い。
僕達は可愛い屋久猿の肉を食べていたのだ。


しかし人間とは恐ろしい。 あんなに可愛い 可愛いと言ってた屋久鹿と屋久猿を知らずとはいえ食べてしまったのだから、、



続く
12/21 02:24
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▼[4]怖い名無し
続き

登山口でモッチョムさんと別れ、ここからやっと二人っきりだ。
‥と思ったら観光バスでマダムの団体が到着!
僕達は団体登山者に飲み込まれる事になった。

早く歩いても遅く歩いても山には人だらけ、二人で景色を楽しむような状況はできなかった。 
これは世界遺産と離島ブームの影響だろう。

数年前来た時は静かで神々しさを感じたが、今では高尾山と何ら変わりない。

お昼過ぎに縄文杉に着いた。 待望のお弁当タイムだ。
モッチョムさんの奥さんと綾ちゃんの合作。 愛情たっぷりで、とっても美味しかった。

今夜は高塚小屋と言う山小屋に泊まる。

小屋に着くと寝床を準備し、食事の準備をする。
二人ですると何でも楽しい〜

小屋の利用者は僕らの他に5人。
若い夫婦と中年の男性の3人組だ。
山の夜は早い。 他の利用者は8時には就寝してしまった。

迷惑になるので僕らは縄文杉まで戻る事にした。
縄文杉までは100mもなかったと記憶している。
しかし漆黒の闇の中での、その距離は危険だと判断して途中で断念した。
実際に小屋からトイレ棟までの数メートルで遭難した人は少なくないそうだ。

太古の木々が生い茂る山の夜は光が一切存在しない。 ここには月明かりも星の光も届かない。
つまり 暗闇に目が慣れれば見えるという事がない。 何か光源が無ければ何も見えないのだ。

ライトを消すと隣にいる綾ちゃんの顔も見えない。
自然と二人の距離は縮まるのだ〜

満天の星空の下もロマンチックだけど、こんなのもいいな〜

話しに夢中になっていると少し離れた場所に人影がチラッと見えた。
最初は猿かと思ったら違った。
その人影はこちらに近付いてくる。
「こんばんは」こちらも「こんばんは」
僕は消していたヘッドライトを点灯させた。 
突然現れた声の主は、関西のおばちゃんだった。
イントネーションから関西人とすぐに分かった。


続く。

12/23 00:50
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▼[5]怖い名無し
続く

そのおばちゃんはトイレに行った帰りに小屋が分からなくなって迷っていたそうだ。

さすが関西人。 そこから怒涛のおしゃべりタイムが始まった。
内容は、子供の生い立ちからの自慢話から隣人との境界線を巡るトラブルやら、およそ初対面の人とする会話ではなかった。

おばちゃんが旦那が心配してるといけないから戻ると言った時はホッとした。
僕が予備の手持ちライトを貸すと  

おばちゃん「アンタ達がおらんかったら遭難してた。 ほんま助かった おおきに」

僕「ほんと トイレに行くのに行方不明になる人もいるんですよ 気を付けて下さいよ」

おばちゃん「そうやね 気をつけなアカンね」
と言って小屋に戻っていった。


それから暫くして 僕達も小屋へ戻った。
皆を起こさないように静かに寝袋に入り就寝した。

翌朝、皆が身支度を始めてる音で目覚める。
綾ちゃんは少し前に起きたそうだ。
外を見ると小雨がパラついている。 入り口のちょっとした棚に僕のライトが置いてあった。
おばちゃんの姿は無い。 もう出発したのだろう。

僕達は登山経験が少ないので天候の回復を待って出発する事にした。
小屋には僕と綾ちゃんの二人になった。


朝食の準備をしながら、綾ちゃんが話しだした。
「昨日のおばちゃん あれ幽霊だよ」

僕「えっ!?」

綾「マコ君 やっぱり気付いてなかったんだね」

僕「う‥うん。つか幽霊なワケ―」

綾「昨日 小屋に居たメンバーに旦那さん居た?」

僕「中年の男性グループがいたろ、その中の一人じゃ」

綾「そもそも おばちゃんを小屋では一度も見てないし 男性グループが出発するの見送ったでしょ」

そうだ。 確かにおばちゃんを小屋では見ていない。 旦那に成りうる人物もいなかった。

僕「まさか トイレに行こうと行方不明になった人が…」

綾「きっと そうね。 でもマコ君の貸した懐中電灯が小屋にあるから戻ってこれたんだね。 これで成仏出来たと思う」


聞いた話では 小屋からトイレに行くのに行方不明になった人は数名いるらしい。
トイレから森の深部へと一枚ずつ服を脱ぎ捨て最後の一枚から先に足跡も消えるという不可解な事件も起こっている。 

他の行方不明者はまだ小屋を探しさまよっているのだろうか…。



12/23 02:08
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▼[6]怖い名無し
前置きと言うか無駄な話多い
4ページ目位から読めばすっと読めて面白かった
10/11 08:32
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男性
鹿は良いが猿は人間に移る病原菌が怖いね
10/26 12:46
[N01E]
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