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続き 北海さんは1時間程で帰って来た。 動けない僕に代わってサトウキビを杖っぽく仕上げてくれた。 昨日初めて会った僕達の為に ここまでしてくれるなんて感謝のしようがない。 もうすぐ日が暮れる。 暗くなると、ウシュマイとンミーがやって来るだろう。 今更だが、島を離れるべきじゃなかった。 これまで沢山の不思議な体験をしてきたんだから『グソーに連れて行かれる』と言うのも信じるべきだった。 すぐにオバーに相談しておけば良かった。 逆に不思議な体験を数多くしていたから油断したんだ。 危険を切り抜けられていたのは自分の力ではなく 周りの、みんなに助けてもらっていだけだったんだ。 もう辺りは暗くなって来た。 綾は布団に寝かし、方言教室のオバーに貰った御守りを持たした。 僕は綾の前に座りグーサンウージを握りしめた。 周囲を警戒しキョロキョロしていると部屋の隅に人影を見つけた。 ウシュマイとンミーだ。 ウシュマイとンミーの顔は木の面ではない。 本物だ! 本物のグソーの使いウシュマイとンミーだ。 いつも見慣れているアンガマ面のファニーな印象は無い。 歯の抜けた間抜けな顔が今は笑えない。 僕は勇気を振り絞って グーサンウージを差し出した。「これを持ってグソーに帰れ!!」 精一杯の虚勢を張った。 ウシュマイとンミーは不気味な顔で何かを言い出した。 何を言ってるのか分からない 古いヤイマムニ(この地方の方言)なのか 呪文なのか? だが、それが僕と綾をグソーに連れて行く為の儀式だと言う事はわかった。 やはり ウシュマイ達が持っていたグーサンウージじゃなけゃダメだったんだろう。 僕達の身体は自分の意志で動かす事が出来なくなっていた。 このままグーサンウージの代わりになりグソーへ連れて行かれるのだ。 いつの間にか僕達はファーマーに囲まれていた。 続く
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