投稿記事
「まるで…古事記にある…人が死んだら行くって言う… 根の堅州国の途中にある…黄泉比良坂の有様だ…」 「俺の目には全員…男…男しかいないと思うのだが…」 「確かに男だけだ…女は一人もいないみたいだ。 酷い怪我をしているのもいれば…なんだ?身体が腫れあがってるのもいるし 肩から上が無い奴もいる…銃創を負ったみたいなのもいるな…」 「顔からしてアイヌとはとても思えない…シサム…どうみても本土の人間だな…」 「戊辰戦争で賊軍になった藩の人間が開拓団として送り込まれた話は 聞いたことがあるけど…一体…なんなんだこいつら?」 奴等は美幌町へ行く間… ずっと木の間から俺達を睨み続けていた。 美幌峠の展望台でAさんと再会することが出来た。 予定通り、網走経由で来たらしい。 それで、俺たちが遠軽国道で見た怪異のことを言うと… 「俺も途中の踏み切りで変なの見たぞ。 遮断機が下りて電車が通り過ぎるのを待ってたんだけど… 線路の中にな目鼻立ちも分からん真っ黒な人影みたいなのが立ってたんだ。 藤城清治の影絵を知ってるか? 警報機が鳴る中… ざんばらの長い黒髪で赤黒い振袖みたいなのを着てて…女だって… でもな、それがよく見たらだらんと垂れ下がった皮膚で… 電車が来て、そいつを躊躇無く轢いてった。 通り過ぎた後には何にも残ってなかったな」 どのルートを使っても俺達は怪異から逃げられないというのか… (了)
[
掲示板
]
mobile-bbs