投稿記事
猛スピードで通り過ぎていく木々の間に…ずっと…人が… 毛髪は薄いのか剃っているのか…見えない…坊主頭… 服は着ていない…下半身に下着だろうか…頼りない一枚のみ… 紙の様に白い肌…背丈はバラバラだが…全員がガリガリに痩せ細っている。 「B…道路の両脇な…木と木の間に上半身裸の男がずっといるのだが…見えるか?」 寝てたのか…膝の上に開いていた地図をたたみ、 欠伸ひとつして右手で目を擦り、助手席側の窓から原生林へ目をやる。 おや?返事がない… 「闇黒舞踏みたいな連中が道路脇にずらっと並んでるだろ?」 「…木…人…木…人…木…休む…休みたい…休ませてくれ?」 「B…どうした?」 「いる…ずっとこっちを睨んでる…なんでこんな山の中に…人がいるんだ? そいつらの顔が…なんかそう言ってるような…」 生きている人間で無い事は確かだ。 正面から近づいてくるまでは見えない…のだが…ほぼ、真横になると…いる… 俺には一人一人の表情までは確認できない… 以前、第二次世界大戦でナチスがユダヤ人に行った虐殺… ダッハウ強制収容所の写真を見たことがある… 堆く積まれた…何の罪もなく殺されたユダヤ人の死体… 収容棟の中で食事も水も殆ど与えられず、蔓延するチフスと餓えによって迎えた死… 壮絶… あの感じにとても似ている…
[
掲示板
]
mobile-bbs