投稿記事
昼間、踏み切りで使った食塩の袋を探す。 たしか、戻したんだったか… 調味料や食器を入れる収納ボックスから見つけて、出入り口の両側に、皿へ円錐状に盛ったものを置く。 昼間、遭遇した怪異に対し、いくらか効果があった様に見受けられた。 塩は古来より神聖視され穢れを祓い清めるという見方をされているし… 今回も効果があってくれるとありがたい… 応急処置的盛り塩作りを終えた俺は、自分で持ってる分に一掴み取り 「B!塩だ…一掴み取ったらAさんにまわせ!」 隣で寝袋から顔を出して俺がやってることを見ていたBに食塩の袋を渡す。 Bも塩を一掴み取り出して、Aさんへ袋をまわした。 「あれ、生きてるヤツじゃないこと決定…だ…よな…」 「生きてるヤツじゃない!?」 立てた膝に顎を乗せて座る、出入り口を見つめたままのBが呟いた。 俺達は脱いだ寝袋をひざ掛け代わりにしてテントの中心へ身を寄せ合って座っている。 「今の人間が好き好んで草鞋なんて履かないから…」 「なんだ草鞋って?」 「ウチの地区では秋祭りの時に草鞋を履き、 編んで作った藁鉄砲を担いで豊作祈願に各家々を回ることをするんですよ 雨天決行で…その…雨の中、土の地面で草鞋を履いて歩くと…あんな足音になるんです…」 「なるほど、確かに靴音なんかじゃないな…」 「思ったのだが、念仏…一行な、ゆっくりだが一直線に俺達のテントを目指してる 気がしないか?」 キャンプ場の敷地は広い。俺達は到着が遅かった為、立地条件が悪い場所しか空いてなかった。 水場からも駐車場からも遠く、トイレに近い端の傾斜地… 仕切りになっている垣根が植えられて、 テントを張る為に打ち込むペグが根っこが邪魔をして、なかなか地面に刺さらなかった。 「認めたくないが…たしかにこっちへ向ってきている!」 「なぁ…もっとそこら中に塩盛った方がいいんじゃないのか?」
[
掲示板
]
mobile-bbs