投稿記事
おっさんが必死になる理由は分かる。 1994年に起きた北海道東方沖地震による津波の記憶が新しい。 道内での被害は少なかったが、北方領土では死者行方不明者を出し、 一万人近い住民がロシア各地へ移住を余儀なくされた。 道内に残る、ウサギと津波に纏わる伝承では、 イセポ・テレケの予兆現象があった当日から十年程の間に必ず、津波が起こったとされる。 宿まで戻った俺達は、おっさんに見送られ、早々に根室を後にした。 今日は釧路湿原の脇を抜け、阿寒国立公園を目指す。 観光化されたとはいえ、アイヌの伝承や文化が数多く残っている場所だ。 それに内陸部だから津波に襲われる心配はまず、無いだろう。 結局のところ、北海道に俺達がいる間は、津波は起こらなかった。 (了)
[
掲示板
]
mobile-bbs