投稿記事
高校生の頃の同級生の女の子の話。仮にA子とする。 A子は大人しい子だったのだが、時々無言でいきなりクラスメイトの背中をバンバンと叩くことがあった。 「なに?」と言ってもそれには答えず、自分の席に座って小さく「ごめん」という。こういった奇行?が度々あったのだが、本人の性格もあって人からは好かれていた。 顔やスタイルもよく、男子からもよく告白されていたみたい。ただ、高校時代は誰とも付き合わなかったようだ。 それから数年経って、俺が大学4年になった時に、サークル関係で、他校の女子と合コンする事になった。 A子の事はすっかり忘れていたのだが、待ち合わせ場所に来た時、一目見てA子だと分かった。合流したばかりなのにA子が俺の手を引いて歩き出す。気がつくとサークルの仲間から逸れていた。 駅前の噴水前まで来ると、A子が突然俺の後ろに回るとバンバンと背中を叩いた。「ごめん」そう言うと目を伏せる。 「A子だよね」俺がそう言うと「えっ」て顔をした。 後で聞いた話なのだが、どうやらこの時点では俺だと気がついていなかったみたい。 「久しぶり。同級生だったO夫です。」 俺がそういったとたんに、「よかった。生きてた。」そういってA子がいきなり泣き始めた。 なにが起こっているのかわからず困惑する俺。 するとA子が話し始めた。 「信じてくれなくてもいいけど・・・。」そういって話してくれた内容に、背筋が凍った。 俺はどうやら高校の頃から憑かれていた様だ。それも霊とかではなく神様に。そして、助けを求めていた近くの霊を引き寄せていたみたい。 A子自身、もともと視える人ではなかったみたいだけど、ある日突然見える様になって、なんとかしないとって思ったみたい。 高校の頃は毎朝神社に寄って手水で清め、参拝をした後登校していた様だ。 カバンの中には伊勢神宮のお札も入れていたみたい。 その甲斐あってか、他のクラスメイトに憑依しかかっている霊や寄ってくる霊はお祓いの真似事で祓えたみたいだけど、どうしても俺についている神様は俺から離れてくれなかったということだった。 俺の顔はA子には、高校の頃からこの時までずっとブレて見えていたみたい。「人の顔には見えなかった」と言われた。 そしてこの時初めて「なぜ俺についているか」神様の話しが聞けたそうだ。 俺の実家は古い農家で、昔、庭には池があり、その横に社があって神様を祀っていた。 俺が中2の頃、道路の拡張があって庭の一部が道路になった。その時に庭の一部と池と社を潰した。当時の事は俺も憶えていて、神主が家に来て、祝詞をあげて御神体から神様を抜いた?はずだった。だがどうやら抜けておらず、ずっと俺を社代わりにしていたみたい。依代ってヤツか? 翌日、俺はA子を連れて実家に帰った。親に社の事や御神体の事を聞くためだ。 親の話だと、御神体は納屋の中に蔵ったそうなので、探索開始。半日かかってようやく金という文字の彫られた卵型の御神体を発見した。 すぐにそれを彼女が高校時代に毎日参拝していた神社に持っていった。 彼女が神主に話をしてくれていた様で、再び祝詞をあげた後、御神体を引き取ってくれる事に。 この時初めてA子には俺の素顔がハッキリ見えたと言っていた。 この後、色々とあったのだが、俺とA子は付き合う事になり、2年前に結婚。来月には子供が生まれる。妻の話では神社で祝詞をあげている最中に神様から礼と「将来産まれる子は、いろいろな意味で強い子だから、大切に育てなさい。」と言われた様だ。 妻曰く、妻には霊障?のある人の顔がブレて視えるという。 100人居れば1〜2人はそういった人がいるみたい。 最近、高校時代のクラスメイトのB子と仕事先でたまたま会ったのだが「あれ、憑いてたモノ、落ちたんだね」と、ニタァって笑ってた。どうやらB子にもにも見えていた様だが、「触らぬ神に祟りなし」を貫いていた様だ。「どうせ長生きしないだろう」と思っていたとも。 祟る神や霊よりもB子が一番怖かった。
[
掲示板
]
mobile-bbs