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私の友人(女性)から聞いた話です。 友人は当時、電車で会社に通勤していました。 しかし、彼女の最寄り駅では、決まって不思議な事が有りました。 朝に電車に乗る時、ホームを挟んで隣の線路に いつも回送列車が停まっていたそうです。 その回送列車の中に、必ず40代位のサラリーマンのような男性が俯いて座席に座っていました。 しかも、絶対に、同じ車両、同じ座席に座っているんです。 回送列車に乗るなんて有り得ないし、服装から考えて、鉄道の関係者でもありません。 そして、夕方や夜に見かける回送列車にはいませんでした。 男性は朝の、その時間の回送列車でしか会えなかったんです。 友人は、不気味だとは思いましたが、霊感も無く、そういった類いのものは全く信じていない人間だったので、 座っているだけだし、別に気にならないという程度にしか考えていませんでした。 それから、電車通勤を始めて5ヶ月程たった頃、今まで俯いて座っていた男性が、背筋をピンと伸ばして、正面をまっすぐ見るように座っていました。 でも友人は、もう見慣れてしまい、特に気にも留めず電車に乗り込み、会社に向かいました。 しかし次の日、そんな友人でもゾッとすることが起こりました。 昨日は正面をまっすぐ見ながら座っていた男性が、今度は首だけを回して、友人の方を凝視していたんです。 その顔は、皮膚は木の皮のように干からびていて、目玉のある位置にはぽっかりと穴があいています。 口元は、カラカラに乾いた唇が、話すようにもぞもぞと動いていました。 今までほとんど俯いていて、顔なんて全然見えなかったので、今更とても怖くなった友人は、回送列車の方は決して見ないようにして、いつも乗る電車を待つことにしました。 (早く来い早く来い早く来い!!) と心の中で念じ続けていたそうです。 その時、友人の乗る電車が見えてきました。 これで電車に逃げ込めると思いほっとした瞬間、 電車の目の前に人影が表れ、あっという間に電車の下に吸い込まれるように消えていきました。 投身自殺でした。 ホームは大騒ぎになり、駅員さんが何人か線路に降りていく様子を友人は呆然と見てる事しかできなかったそうです。 その時、友人は思わず 自分のすぐ真後ろにある回送列車を見てしまいました。 男性は、窓に張り付くように目の前の景色を見つめながら、まるで叫ぶように口を大きく開けていたそうです。 友人は、恐怖のあまり必死に走ってその駅から逃げ出し、その日はタクシーで会社に向かいました。 人身事故から2日後、勇気を出して友人はまたあの駅に行きました。 ホームに着いた時、やはりあの回送列車はいつもの線路に停まっています。 その時、友人はまた 回送列車の同じ車両、同じ座席に人影を見つけました。 ですが、座っているのはあの男性ではありませんでした。 スーツを着た女性が、友人の方を見つめていたそうです。 あの男性と同じ、干からびた皮膚、眼球がない目、カラカラの唇の顔で。 友人はその瞬間、あの投身自殺で亡くなった人は女性だったと思い出しました。 それから、友人は車を買い、車で通勤する事にしました。 次にあの座席に座るのはきっと自分だと思い、駅にはそれ以来行っていないそうです。
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