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白樺の立ち枯れが青い水面から生えている幻想的な光景… 俺達が飯を食っている間に、爺さん…店主が湖までの地図を描いてくれた。 舞茸丼と山菜うどんで腹を満たした俺達は一路、 幻の青い湖を目指す。 『1988年の12月に噴火した十勝岳の堆積物による火山泥流災害を防ぐため、 美瑛川本流に複数建設された堰堤のひとつに水が溜まった偶発的な人造池』 『美瑛川の水と水酸化アルミニウムなど白色系の微粒子が含まれた湧き水が 混ざって分散し生成された一種のコロイドと水中に差し込んだ太陽光が 衝突散乱して水の吸収による青色の透過光が加わり青い色に見える… と、言われている』 今、ネットで『美瑛』『青い池』と検索すれば神秘的な画像と共に そんな記事も見つけられるだがろうが、 当時の俺達にとっては地図には載っていない神秘の青い水を湛える幻の湖… 描いてもらった地図を頼りに車を走らせる。 手書きの地図ではいまいち距離感が掴めず、 ホクレンのガソリンスタンドで貰った地図との整合性も… それに原野だ…目印らしい目印もない。 Aさんの乗るバイクが俺の運転するパジェロの後ろをついてくる。 やっと、湖へ向かう道を見つけたのは午後3時を過ぎてからのことだった。 森の中へ続く未舗装路… 工事中により立ち入り禁止の立て札と進入禁止のチェーンが張られた先… ここで車を下り、徒歩で向かうしかない。 盆休み中だから関係者はいないだろうが、熊は年中無休で稼動中だ。 熊除けの鈴を鳴らし、必要以上に大声で会話しながら 身ひとつで北の原野を歩く。 でかい図体のくせして忍者みたいなやつだからな熊… 鬱蒼とした白樺の森、奥へ奥へと続く道… おっかなびっくり進む。 あった… 木立と木立の間、 自然界ではありえない色彩… 北海道の空よりも…濃く澄んだ青… 写真で見た…漆黒の宇宙に浮かび上がる地球の青… 言葉が出ない… もっと近くで…湖の畔で いい年した男三人が魅入られたように、歩いていく。 幻の青い湖。 俺達はついに来た。
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