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奥さんが今まで見たことない最高の表情で微笑みました。 目が全然笑ってないんですけど… 「見に行きたいの?」 「…イエス、マム…」 あっちはジョン・ウエインこっちは誰? 店長さんは全身をガクガク震わせ、今にも凍死しそうな塩梅です。 奥さんが今度は周囲をぐるりと睥睨しますと、 「嵐の前の静けさは最高ね♪」 「え!?」 「ベートーベンは好きかな?」 探検隊男子メンバー全員が突然、椅子を蹴立てて飛び上がり、 着地と同時に額を床に擦りつける…土下座に入りました。 これが噂に名高いジャンピング土下座… 『変態でもいいです!俺達に幽霊の巨乳を見せてくださいマム!!』 声を揃えて巨乳を見たいって…どんだけ最低なんですか男子… 彼等だけで行かせたらロクな事にならないのは間違いないです。 女体に飢えたケダモノ野郎ですから。 以前、抱きついてくる巨乳の幽霊が出ると噂される道路を見に行った時など 騒ぎすぎて付近の住人からお巡りさんを呼ばれ、私まで職質を受ける羽目になりました。 道端で80年代のアイドルのコンサートにいた親衛隊風の掛け声とかしないですよ普通… 「仕方ないなぁ」 そんな訳で、私と奥さんがお目付け役となり、 寒い中を変態共を引率してこの巨大な廃墟へやってきたのでした。 徒歩で。 雲間から月が顔を現し、青白く玲瓏たる光がスポットライトの様に、 白い8階建ての威容を闇の中に浮かび上がらせています。 私の視力では眼鏡をかけていても星まで確認することはできません。 風がちょっと強いですね。 落ち葉が巻かれてアスファルトの上をカラカラと転がっていきます。 「…あと一息、諸君らの力を私に貸していただきたい! そして、私は父、ジオンの元に召されるであろう!!」 まだ、天之津君は通常の三倍でロリでマザコンでシスコンの人をやってました。 探検隊のメンバーはなぜか、心霊スポットでアニメや漫画のネタばかり喋ります。 特に1stガンダムネタが多いです。 「こうも近づけば四方からの攻撃は無理だなシャア!!」 「なんだ!?」 「なぜ、ララアを戦いに巻き込んだのだ、ララアは戦いをする人ではなかった!」 「ちぃ!」 ビシコーン!なんて、ガンダムネタを交わしながら 心霊スポットを根城にしている暴走族とかをボコボコにしたりします。 それはともかく、店長さんの話では目撃者の皆さんが敷地の外から、 月明りを受けてベランダに立つ女性の姿を捉えたそうです。 通りに近い方の建物で5階あたりの角部屋… 「あれかしら、5階のベランダに誰かいるみたいだけど…」 奥さんが指を差しました。まだ、建物までかなり距離があるのですが… マサイの戦士レベルの視力でも持っているのでしょうか。 必死に目を凝らし、眼鏡を両手で摘まんでデリカットしても全然見えないです。 「私には見えないですよ〜どこですかぁ?」 突然、先頭を歩いていた店長さんが、 ニュータイプ覚醒したシャア大佐みたいなことを呟いて駆け出しました。 僅かに遅れて残りの男子も負けてなるものかと走り出します。 「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って出世したんだ!」 「やめろ、ジーン!」 何が彼らをこうも焚き付けるのでしょうか… もちろん、 巨乳、幽霊の巨乳に他なりません。
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