投稿記事
視力を取り戻したとき 不気味な生首はもう…いなかった。 異臭がテントの中に立ち込め… それが夢でも幻でもなかったという証が残されていた。 再び轟音…今度は少し遠い…正体は雷だった。 テントの生地が大きくはためき、 鬼哭のような音をたて突風が吹きつけてきた。 未明の急激な天候変化… みるみる外は大荒れになる。 屈斜路湖の水を全てぶち撒けたような大雨… ひっきりなしに聞こえる雷鳴… 天駆ける雷光… 金縛りを自力で解き、 一刀に残る全てを込めて振った疲れの為か… 異形が消えた安堵からか… 身体からみるみる力が抜け… 俺の意識が遠のいていった… 目覚めると朝… テント生地を透かして朝日が俺の顔を照らしている。 身体に…力がまるで入らない。 ふらふらとテントの外へ這い出してみれば、 ひんやりと水気を纏った空気… 風で引きちぎられた落ち葉が迷彩塗装の様にテントへ貼りつき 外には大きな水溜りがいくつも出来ていた。 嵐の名残がしっかり残っている…夢ではなかったか…あの生首も…
[
掲示板
]
mobile-bbs