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僕はイシャナギー島で家賃格安の築数百年の武家屋敷に住んでいる。 屋敷に住んでいるのは僕と『ンギー』と名付けた妖怪の豚一匹。 ある夜 寝ていると何やら声が聞こえてきた。 周りを見渡しても誰もいない。 耳を澄まして聞くと 「ワー マーハラドゥ キーラ」と言っている。 古いヤイマムニ(ヤイマ方言)のようだが、僕には分からない。 枕元に目を向けると、そこには 意外な声の主がポツンと佇んでいた。 声の主は小人だった。 小人は「マシームヌ マシームヌ」と言いながら闇に溶け込んで行った。 翌日 バイト帰りに方言教室の『入波平』のオバーの家を訪ねた。 入波平のオバーはとても物知りでヤイマの事なら何でも知っている人だ。 オバーに小人の件を話すと すぐに答えは返ってきた。 やっぱり島のオバーは偉大だ。 小人は『ソーネーマー』というマジムンで、悪いモノではないとの事。 *マジムンは魔物(悪)のイメージがあるけど霊的なモノの総称的意味合いがあるそうです。 「ワー マーハラドゥ キーラ」は「あなたは、どこから来たの?」と言う意味。 「マシームヌ」は「不思議」と言う意味。 どうやら屋敷に引っ越してきた僕を珍しがっているようだ。 何にせよ 悪い存在ではないと訊いて安心した。 それ以来『ソーネーマー』は毎晩現れるようになった。 相変わらず何言ってるかは分からないが、出来るだけ会話をするよう努力した。 『ンギー』とは以前から面識あるようだが、お互い干渉はしないようだ。 日が経つにつれ、僕は『ソーネーマー』の言う事が分かるようになり『ソーネーマー』も現代日本語を話せるようになってきた。 季節は過ぎ ヤイマにバガナツ(若夏)が訪れた。 僕の双子の兄がヤイマの日本一早い海開きに合わせてやって来る事になった。
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