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2: 野宿するタイミングを外してしまっていた。 さすがに山の中で独り野宿する気にはなれず峠を一つ越えてしまった。 麓に降りしばらく自転車を漕いでいるとセイコマ(コンビニ)が出てきた。 そこから5分もしないうちに町の中心地にきたようだ。 今夜は駅を寝床とする。 私の野宿は至ってシンプルだ。 テントはよっぽどの事が無ければ設営しない。 普段は銀マットを敷いて横になるだけだが、9月下旬の北海道の夜は結構寒く、寝袋に入って眠りにつく。 マミー型の寝袋って解るかな? 顔だけ出して寝るヤツなんだが。 その夜は大変寒く、顔を中に引っ込めて、身体を全て寝袋の中に納めた。 それでも寒くて、夜中に何度か目を覚ました。『テント張れば良かった』と思った。 何故 私は野宿の時、よっぽどの事が無ければテントも寝袋も使わないかと言うと、テントは外で何かあっても分からないから。 寝袋は何かあった時、動け無いから。 何かとは窃盗や強盗だ。 テントに寝ていると高価な自転車がイタズラや窃盗に遭っても気づかないのだ。 寝袋に入ってると正にサンドバック状態。 知り合いの旅人が寝袋で寝ていると田舎ヤンキーに金品を捕られた事がある。 寝袋から出る事すら出来ず、文字通り袋叩きにされた。 そんな事があり野宿はさっと行動出来るようにテントも寝袋も使わないようにしている。 その日はそんな事言ってられない位寒かった。 寒さで何度目か目を醒ました時、遠くから『カタンカタン』と音が聞こえてきた。 寝ぼけ眼で何か音が聞こえるな〜と思っていた。 それから眠ったのか寝ぼけていたのか分からないが ちょっと時間が経ったと思う。 その音が近くでハッキリと聞こえ始めた。 今度は『カタン』だけじゃない。 足音と声も聞こえる。 声は何を言ってるのか解らない。 しかし聞き取れないとか外国語と言う事じゃない。 お経や呪文でも、意味の無い言葉でも無い。 上手く説明出来ないけど、ちゃんとした言葉をしゃべっているのだけど、この地球上どこにも無い言語を使ってるような気がした。
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