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これは茨城在住の玉置さんから聞いたお話です。 玉置さんがまだ学生の頃、近所を散歩していると道に迷ってしまったそうです。 住み慣れた街で迷うはずもないのにと今来た道を引き返していると、駐車場の奥にリサイクルショップの文字が見えました。 建物は小さく、記憶が正しければプレハブ小屋のような作りだったそうです。玉置さんは見慣れない店に興味が湧き、店の中に入りました。 中は所狭しと沢山の商品が陳列されています。懐かしいオモチャや子供の頃に読んでいた雑誌、古いレコードなども沢山あったといいます。 ふと視線を感じて振り向くと商品棚の陰からお婆さんが顔だけをにゅっと出して真顔で此方を見つめていました。 てっきりお店の人かと思い「こんにちはー」と挨拶をするとその顔は何も言わずににゅっと引っ込みました。 気にせずに商品を物色していると、また人の視線を感じます。 辺りをキョロキョロした後に上を見ると、商品棚に両手をついたさっきのお婆さんが玉置さんを見下ろしていました。 玉置さんが反射的に「うわっ!」と声を上げるとその顔はまた無表情のまま後ろに引っ込みました。 商品棚の後ろに回ってみても誰もいません。そもそも人の気配さえありません。声を掛けても返事はありません。玉置さんは薄暗い店内が少し気持ち悪くなってきました。 ボーン ボーン ボーン すると突然古い壁掛け時計が鳴りだし、それにつられるように他の壁掛け時計も次々と鳴り始めました。 ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン ボーン 玉置さんは死ぬ程びっくりして、慌てて店を飛び出しました。時計の音に混じって女性の笑い声のようなものも聞こえたからです。 玉置さんが駐車場を出て振り返ると、そこは荒れた空き地で今までいたプレハブ小屋は跡形もなく消えてしまっていたそうです。 叫びながら無我夢中で走っていると、気がついたら知っている道まで出ていました。 ホッとして立ち止まると、玉置さんは右手に持った一枚のシングルCDに気づきました。慌てていたのでついうっかりと店内から持ち出してしまっていたようです。 表面は黒ずんでいてかなり年季が入っていたそうです。しかし子供の頃好きだったアーティストのものだったので、玉置さんは悪いと思いながらも家に持ち帰って再生してみたそうです。 しかしスピーカーからは目当ての曲は流れてこず、ボーン ボーンとあの時に聞いた壁掛け時計の音が不気味に流れていたそうです。
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