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兄がヤイマへやって来る日 その日は仕事だったが、1日の大半を空港に詰めているので兄の出迎えは出来た。 僕の肩には『ソーネーマー』足元には『ワーグワマジムン』がいる。 幸い兄は見えないようだ。 久しぶりの再会を喜んだ。 兄は弟の働くレンタカー屋ではなく 格安のレンタカーを手配していた。 仕事が終わり兄に迎えに来てもらい屋敷へと帰る車中 「お前さぁ気付いてる?」と言われた。 僕は意味が分からず「何の話?」って訊くと「わかんないならいいや」と言われた。 屋敷に着くと「こんな汚いとこに泊まれない」と言い出した。 少しムッとしたが知り合いのドミトリーを手配してやった。 確かに都会人の兄にはキツいかも知れない。 書くタイミングを外したが、ソーネーマーにはちゃんと名前がある。 意外にもヤイマに有りがちな普通の名前だ。 ヤマト(本土)にはあまり無い名前なんで書くのは止めておく。 僕は名前で呼んでいるが、物語ではソーネーマーのままでいく。 顔は彫りが深く髭もじゃ、服装は薄汚れた着物一枚にクバ笠を首に引っ掛けている。 古いヤイマの民族衣装なのだろう。 初めて遭った時、僕を見て「マシームヌ」(不思議)と言ってたのは洋服がマシームヌだったのだろう。 話は少し飛ぶ。 ドミトリーの仲間と仲良くなった兄は僕をほったらかしで毎日楽しくやっていた。 そして最終日前夜。 島に来て初めて兄と夕食を取る事になった。 場所は一杯100円でビールが飲める居酒屋。 「おいマア(僕) 豚好きか?」兄がワケの分からない事を言ってくる。 「へ?」 「いやな、黙っとこうと思ってんけど…… お前の足下に豚の幽霊おんで」 びっくりした。 兄にも『ンギー』が見えるのだ。 「それから肩にはちっちゃいオッサンおんで プッ」
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