MH小説・日記


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夢宮
†信義追悼†
 昔、生きる希望を見失った少年がいた。
両親を国に殺され、自分に復讐をする力すらないことを知らしめられた。
 でも、そんな時に、少年は聞いた。
それは幻聴かも知れない。
妄想かも知れない。
でも、それでも。
誰かが言ってくれた。



『生きることを諦めないで。あなたは家族を失ったかも知れない。でもあなたは自分の人生を失ったわけじゃないでしょ?』



 誰かが優しい声色で囁いてくれた。
そうだ、頑張ってみよう。
僕の人生は失われたわけじゃないから。
僕にもきっと何かが出来るのだろうから。
08/07 20:09
[N08A3]
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◆[12]夢宮
「で、師匠、どうするんだ?」
「まずは村長と話をしにいく。そのためには村長の家がどこにあるかを村民に聞かねばならないが」
「聞き込みか。わかった。じゃあ、ここでバイバイかな。アリス、道案内ありがとう!」

 ジャミルはアリスに手を振りながら走っていく。
スウェロもゆっくりと歩きだした。

「待って!」

 アリスの声が村に響き渡る。
それでジャミルもスウェロも歩を止めた。

「村長って……私のお母さんに何の用?」

 その言葉にジャミルはぽかんと口を開け、スウェロは眉をしかめた。

「え?」
「ふむ?」
09/24 13:54
[N08A3]
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◆[13]夢宮
 村長の家──アリスに家に案内してもらう途中でこの村のことを色々聞かせてもらった。




 この村には昔から奉る神様がいる。
その神様は名前は“赤名主”。
姿は美しい長髪の女、紅の王冠を被り、その背には翼が生えているらしい。
昼間は村人に化けて、夜になるとその姿を現すとされている。
 彼女の伝承はこうだ。
ある日、村を獣の群れが襲った。
それはそれは恐ろしい獣の群れだった。
村人はなす術もなく蹂躙された。
そんな時、赤名主は現れた。
『生け贄を捧げよ。さすれば村に襲う災厄を払い除けてやろう』
村人達は最初戸惑った。
だがしかし、そんな時一人の少女が言った。
『私の身を捧げれば村は助かるでしょうか?』
少女の言葉に赤名主は微笑んだ。
『左様。着いてまいれ』
そう言って赤名主は深い森の奥へ消えた。
少女は村人達に一度お辞儀をすると赤名主の後を追っていった。
翌日、村人達は少女が気になり森に入っていった。
森はおかしなほど静かだった。
小鳥も、リスも、鹿も、いるであろう獣の群れすらも。
森を進むと開けた場所に出た。
村人達は驚愕した。
そこにあったのは少女と、獣の群れ。
問題なのは、獣の群れが全て死体であることだ。
『***様からの言伝があります』
少女は、とても少女らしからぬ声で喋った。
その声はとても美しく、艶やかだった。
その場にいた男達が皆このおかしな光景を見ながらに男根を勃起させずにはいられぬほどの。
少女は明らかに昨日までの少女ではなかった。
少女が預かった言葉は次の通りだった。
・少女の血族をこれから自分の言葉を伝える巫女とする。
・四季が変わる度に一人の生け贄を捧げよ。
・生け贄を捧げる限り村を守るが、捧げなくなれば村を滅ぼす。
その三つだけだった。
村人達は仕方なくこれを受け入れることにした。
09/24 15:09
[N08A3]
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◆[14]夢宮
 それがこの村の神様“赤名主”についての伝承。
その神様は今は豊穣の神として祀られているらしい。
他にも様々な話を聞いたが、俺が一番興味をもったのがその話だった。
特にそういったオカルトなものに興味はないが、何故か惹かれてしまった。

「着きました」

 村の最奥にある家、それが村長の───アリスの家みたいだ。

「ちょっと待っててくださいね」

 そう言ってアリスは家の中へと入っていった。
 師匠は微妙に顔をしかめている。
多分、俺と同じだ。
 “赤名主”。
そう呼ばれる神様。
その伝承と今の有り方は全く違っている。
昔は畏れられていた存在だったはずなのに、今は全く違っている。
彼女の話を聞けば収穫祭、祈祷祭という“赤名主”に供物を捧げる祭を四季の節目にやるらしい。
その供物は村で採れた野菜や猟で採れた動物だ。
決して人間ではない。
しかし、“赤名主”は人間を要求していた。
この変化はなんだ?
 ……いや、考えるのは無駄だろう。
歴史の片隅に忘れられた真実なんて考えてもわかる訳がない。

「お、お待たせしました!」

 丁度アリスが家から出てきた。
余計なことは考えずに今回の“仕事”に集中しよう。
11/16 12:07
[N08A3]
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◆[15]夢宮
「率直に言いましょう。近日中にこの付近に“悪魔”が出現します」

 アリスの母親───村長はその言葉を聞いて顔に陰が指した。
 アリスに案内された茶の間には今、俺と師匠と村長……そしてアリスがいた。
最初はアリスの同席に俺も師匠も反対した。
何故なら今からの話は“魔道”に関する話なのだから。
普通の人間には全く関わりのない世界。
だから、聞かせたくなかった。
でもアリスは話を聞きたいと言った。
彼女は『赤名主の巫女として話を聞きたい』と言った。
そうなると俺も師匠も困った。
 “巫女”。
“神”の依り代たる神和ぎの乙女は“魔”とは無関係とは言えない。
何故ならば“神”が使ったとされる奇跡も今は“魔術”となっている。
俺なんてその良い例だ。
旧くは“神の怒り”とされる雷を俺は“魔術”として扱うことが出来る。
試したことはないが死ぬくらいでやれば神話級の大雷も扱えるだろう。
もっとも、その後俺がどうなるかは分からないが。
……少し話がずれた。
 砕いて言えば“巫女”は俺達“魔術使”に近い、ということだ。
なので彼女の同席を『一般人に聞かせたくない』という理由で反対は出来ない。
さらに村長も同席させてやって欲しい、と言ってきた。
そうなると俺も師匠ももう反対出来ない。
結果、アリスも席に着くことになった。

「あく……ま?」

 その単語はいくら巫女とはいえ聞き慣れないものだろう。
 ガッ。
師匠に肘でつつかれた。
どうやら俺に説明しろってことらしい。

「“悪魔”……七年前から各地で出現した化け物を俺達は“悪魔”と呼んでる。“悪魔”は鋭い爪牙をもってたり、空を自由に舞う翼をもってたり、様々なのがいる。“悪魔”は人間を襲う。昼間、君を襲った青い大トカゲも“悪魔”だ。俺達はあのトカゲは“ランポス”と呼んでるけどね」
11/22 10:18
[N08A3]
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◆[16]夢宮
「あれが……悪魔」

 一度見ていたことがイメージを助けたんだろう。
思ったよりもすんなりと分かってもらえた。

「ただしあれは“小型悪魔”。この辺りに現れようとしている“大型悪魔”の余波で現れた程度のもの」
「大型悪魔って……じゃあ」
「そう、ランポスなんて所詮大トカゲの域を出ない。正真正銘の“悪魔”が出現する」

 アリスは言葉を失った。
大抵の人間はここまで聞いても笑い話だと思う。
だがしかし、アリスはランポスに遭遇したこともあり俺の言葉が冗談でも妄想でもないと分かっているから“悪魔”が凶暴で人の手におえないものだと創造してまう。

「それで、」

 ここで村長が初めて口を開いた。

「私達はどうすれば宜しいのでしょうか?避難すれば良いのですか?村を捨てて逃げれば良いのですか?教会騎士のお二人様」
「えっ?」

 アリスが素っ頓狂な声を出した。
 ……まぁ、いつも反応はこうだ。
普通なら俺は“英雄”のお付きか小間使い、まぁ良いとこ弟子だろう。
いや、弟子なのは間違いないんだが。
だけど分かる人は分かる。
俺の右手に施された紋様。
“Y”を示すそれは知らない人にはただのタトゥーにしか見えないだろう。

「あなた方は逃げも隠れもしなくていい」

 そして俺の肩に手を置いた。

「その“悪魔”は私の弟子であり教会騎士第六位のこいつが一人で片付けますから」
「そうそう、俺と師匠に任せ……え?」

 なんていったのこのひと?

「では、私はこれにて。聞きたいことがあればそれがいくらでも答えますので。失礼」

 そうして、師匠は席を立って去っていく。

「ちょっと待てぃ!あんたはどうするんだよ!」

 逃げられないようにその裾を必死で掴んだ。

「私も暇ではないのでな。今回の仕事はすべてお前に任せる」
「……戦闘も?」
「無論、すべて」
「……“鉄の竜”は?」
「未完成だろうな」
「一人でやれと申すか」
「ガンガンいこうぜ」
「いのちをだいじに?」
「命は投げ捨てるもの。ではな」

 パシンと裾を掴んだ手をはたかれた。
そのまま去っていく師匠。

「マジかよ……」

 悪魔討伐にきた。
師匠帰る。
俺一人←今ここ。
11/24 12:16
[N08A3]
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◆[17]夢宮
 いや、俺は何をしてる。
馬鹿か。

「あー、くそっ!やってやるさ!二人とも!心配しないで!悪魔は俺が退治するから!」

 胸を張って母娘に自信満々に言ってみせる。
その言葉に母娘の顔色は少し明るくなった。
 そうだ。
俺は『正義の味方』。
なら、それらしく振る舞ってみせないと。
決して誰かを不安にさせたりしてはいけない。

「本当に、私達は逃げも何もしないでよろしいのでしょうか?」
「うん。必ず、俺が退治する」

 言い切る。
弱気になってはいけない。

「……ありがとうございます。ところで今日はどこか泊まる所はお決まりでしょうか」
「あっ」

 そうだ、忘れてた。
悪魔は多分出現にもう少し日にちがかかる。
その間はこの村の近くにいなければならない。
 どうしたものか?
空き家でもあればそこを借りたいとこだけど……。

「空き家かなんかあれば借りたいんだけど……」
「残念ながらこの村に空き家はありません」
「オウフ」

 野宿確定か……。
肩がうなだれる。

「ですが、この家に空き部屋はあります。もしあなたがよろしければそちらをお貸ししますが?」
「えっ。いいんですか?」
「はい。アリス、案内してあげて」
「うん。じゃあジャミル君、着いてきて!」

 アリスが席を立ち上がって歩いてく。

「ありがとうございます!」

 村長に一礼をしてからアリスの後を追っていった。
11/28 16:24
[N08A3]
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◆[18]夢宮
 夜の森を一頭の馬が駆けていく。
その背には漆黒の騎士。

「止まれ」

 手綱を握って馬を止めた。
そこは森を抜けた出口にある少し小さな町だった。
 町の入り口には『アルリオット』と書かれている。
 騎士は馬から降りた。

「ここで待っていろ……よしよし、いい子だ」

 町へと入っていく。
何の変哲もない町だった。
特に代わり映えするところも何もない町だ。
 その中のこれまた特に変わったとこもない小さな家の扉をノックした。

「いるのか?」

 返事はない。
ただコンコンという音が響いただけだった。

「……入るぞ」

 扉を開けて中に入る。
部屋の中は暗く、人の気配など感じられない。
 スウェロが一歩踏み込むとヒュッという風切り音が鳴った。
スウェロはその手に構えていた短剣を振るって襲いかかってきたものを弾いた。
金属同士がぶつかった音が残響を残す。

「久しぶりに会いにきてやった友人に随分な挨拶じゃないか」
「!……スウェロか?」
「おいおい、私を呼んだのはお前だろ。老けたやつとは思っていたがついに頭まで逝ったのか?」
「はっ!その喋り方!確かにスウェロだ!久しぶりだなぁ!我が友よ!」


 ボウッと部屋の中のランプに火が灯った。
人の気配がないと思われた部屋には一人だけいた。
長身のスウェロを超す巨躯をもった男が立っていた。
その右手には妙な武器が握られている。
一見は長剣だがその刃の先端には銃口があり、柄にはトリガーが付いていた。

「いやぁ!すまんすまん!そう言えば今日だったな!手紙を書いておいて忘れてた!はっはっ!」
「それを世間では“ぼけ”っていうんだよ」
「なぁに、うっかりしてただけだ!気にするな!」

 スウェロの肩をばんばん叩きながら笑う彼の名前は『バランダ・ゴードレイ』。
『リトルラグナロックス』の際にスウェロの副官を努めていた……スウェロの背中を預かっていた戦友である。

「まったく……変わってないな、お前は」
「お前もな、そのスマした面が変わってなくて安心したぜ!ちょっと待っとけ、酒を用意する」
「安酒はいらんぞ」
「この日のために買っておいたクソ高い葡萄酒だ!期待しろ!」
「お前もようやく酒の味が分かるようになったか」
「いんや、酔って騒げればそれでいいさ!むしろ味なんて分からないほうが幸せだ!安く済むからな!」
「ははっ、かもな」
12/20 11:53
[N08A3]
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◆[19]夢宮
 それから二人は一本の葡萄酒を飲み干すまで語り明かした。
スウェロが敵地に突撃してバランダがそれをフォローしようと駆けつけたら既に戦闘が終了していた砦への強襲の時の話。
しんがりを務めてバランダが敵に包囲されても敵をしっかり止めてさらに無事に生還した時の話。
バランダがスウェロに招かれてツクヨミ、スウェロと共に食事をした時の話。
瓶の中身が減るにつれてどんどん話は他愛ないものになっていく。

「八年か……あの戦争から」

 バランダが自分の葡萄酒を一気に飲み干す。

「そうだな、全く……時は早いのか遅いのか分からない」

 スウェロも自分の葡萄酒を飲み干した。
瓶の中身はもう残っていなかった。

「あれから何かあったか?」
「弟子をとったよ。生意気な奴で苛立つ部分もあるが……素質があるからタチが悪い」

 あいつは一人で“悪魔”を退治することが出来るだろうか?
本来“教会騎士”は軍団を率いて“悪魔”を退治する。
だが、ジャミルはその軍団をもっていない。
いや、正確には『もたない』。
直属の騎士が一人いるが一人だけだ。

「そういうお前はどうだったんだ?王国からの勧誘を蹴ったらしいが」
「王国を守るなんて柄じゃねぇよ。お前と似たり寄ったりだ、俺も弟子をとった」
「そうか」

 空を見上げると綺麗な夜空が広がっていた。

 ─よう、大将。俺もレベニスの生き残りなんだ─

 丁度この男と出会った時もこんな夜だった。

 ─この世界が求めているのはきっとあんたみたいな英雄だろう。あと、─

「で、私を呼んだ用件はなんだ?」

 フヤギに向かう三日前、戦争が終わってから初めてスウェロの元にバランダから手紙が届いた。
それは今の時間に来てほしい、という一文だけが書かれていた。

「そう、だったな。スウェロ、奥の部屋に日記が二冊あるんだ。その日記を部屋のどこかに隠して欲しい」
「はぁ?意味が分からない。なんだ、なんの暗号だそれは?」
「言ったままの意味だ。頼む、何も言わずにやってくれ」
「?仕方ないな」

 そしてスウェロが奥の部屋に向かおうとするとバランダが口を開いた。

「あぁ、絶対に赤い表紙の日記は読まないでくれ」
「わかったよ」
12/22 11:58
[N08A3]
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◆[20]夢宮
 部屋に入ると机の上に赤い表紙の日記と緑の表紙の日記があった。
スウェロは見つけるとまず緑の表紙の日記をとった。
ページをめくっていく。
その一字一句全てを丁寧に読んでいく。

『赤い表紙の日記は読まないでくれ』

 即ち緑の日記は読んでいいということだ。
むしろあいつの性格上『緑の日記は読め』ということだろう。
 その内容はスウェロに衝撃を与えるのに十分だった。
スウェロは己が目を見張る。
何より驚いたのは戦争の時にバランダが教会を訪れていたということ。
 日記は途中から内容が変わる。
日記ではなくまるで論文のように。
その中にある一文がスウェロの興味を引いた。

「“彼ら”の目的……?」

 ゴクリ、と喉がなる。
その内容はまるで小説のようなファンタジーめいたものだった。
普通なら馬鹿馬鹿しいと言い捨てるだろう。
だが、これを書いたのはバランダだ。
スウェロの信頼する友人なのだ。

「……」

 パタン、と日記を閉じた。

「なるほど」

 その中身はスウェロの考えを変えさせるのに十分な内容だった。
 二冊の日記を取ると部屋のとある場所に置いた。
熱心に捜さなければ見つからないだろう。
 そのまま部屋を出る。

「おっ。終わったか。サンキュ」

 そこには酒を一升飲み干しているバランダがいた。

「“お前”は、あと何日もつんだ?」
「んー、わからんが多分一ヶ月もたないだろうな」

 バランダが特に何でもないように答える。
その様子に、スウェロは奥歯を噛み締めた。

「そうか。私が何かすることはあるか?」
「ないな」

 バランダは本当に何でもないように感情のない声で言う。

「いや、強いて言えば何もしないでくれ。俺の終わりはもう決めてるから」

 『終わり』。
バランダは自分が死ぬことを予知しているらしい。
スウェロは理解してしまった。
“バランダ”はもう、助からない。
ならば最後はどうするのか。
それはバランダが既に決めている。
 なら、もうスウェロに言うことはなかった。

「そうか。葡萄酒、なかなか美味かったぞ」
「そう言ってもらえると用意した甲斐があるってもんよ」
「ではな、」
「あばよ、」

 家の扉を開けてそこでスウェロは立ち止まる。
最後の一言。
それはお互いが最初で最後に言う言葉だった。
照れ臭くて言えなかった言葉。



「「我が心友よ」」
12/22 22:27
[N08A3]
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◆[21]夢宮
 〜翌日〜



「……なんでいるの?」

 教会本部の訓練室で一人の女性がそれを前に言った。
広い訓練室には結構な人数がいたがそれは特に目立っていた。

「私がここにいてはまずいか?」

 ヒュッという風を切る音がテンポよく流れていく。
訓練用の槍(かなり重い)を片手で軽々しく振るうのはスウェロだった。

「まずいわよ。当たり前じゃない」

 女性もまた訓練用の剣を片手にとった。

「ジャミル君はどうしたの?」

 ゴウッ、と刃の潰れた剣がスウェロを襲う。
スウェロはそれを槍で悠々と防いだ。

「置いてきた」

 重金属で出来ているとは思えないほど軽快に槍と剣がぶつかりあう。
ヒュン、ヒュンと鋭い音を立てながら火花を散らす。

「……なんで」
「あいつならば一人で出来るだろうからな」

 女性は一歩スウェロから距離をとりその身体を捻った。
決殺の一撃、身体のバネを利用した渾身の突き。
踏み込むと同時にスウェロの喉を目がけて剣を撃ち出した。

「無理よ、彼がいくら“特別”だからって一人で悪魔の相手なんて」
「お前の無理はあいつの無理ではない」

 スウェロは剣の突きに対して槍の突きを合わせた。
槍の穂先と剣がぶつかり、剣がくるくると宙を舞った。

「……ハァ。もういいわ」

 宙を舞う剣の柄を掴み、そのままスウェロに背中を向ける。

「どうするんだ?」
「彼のとこに行くの。いけないかしら」
「いや……弟子を頼む」
「言われなくてもそうするわよ。一応私は彼の部下だし」
01/11 10:51
[N08A3]
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