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ゼロサム
盆の湯の滝
十年以上も昔の話となる。
会社の先輩であるAさんと中学以来の友人Bと俺の三人で盆休みを使って
北海道旅行へと出かけた。
車一台、バイク一台…むさ苦しい野郎だけでの貧乏旅行…
それでも、素晴らしいものになるだろうと
胸をはずませてた訳だったのだが…
上陸以来、立て続けに起こる怪異に戦慄した俺達は
畏怖の意味を込めて『北海道』を『北怪道』と呼ぶようになっていた。

07/10 21:16
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▼[11]ゼロサム

07/18 02:24
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▼[10]ゼロサム
地上を睥睨しながら悠然と飛ぶシマフクロウから野天風呂へと目を戻すと…
日高から来たという女子中学生四人の姿が消えていた。
バスタオルやビーチボールも無くなっている。
周囲を見渡して、去っていく後姿を捜すが…どこにもない。
岩場からカムイワッカ川の下流を見ても…
麓のウトロへ戻るなら川を下る以外に道はない…
AさんもBも呆然としている。
四人が俺達の眼前から忽然と消えた…

「マゴロクはあなたが預かっていてください」

立ち尽くす俺のすぐ傍で、サクと呼ばれていた少女の声がする。
姿は見えない…
ただ、声だけが聞こえた。

「お前等も気をつけて帰れよ」

と、強がって見えない声主に返してやると、笑っているのだろう…耳元の空気が震えた。
一番上の滝へ向うのを諦め、俺達は荷物をまとめ下山することにする。
かなりのペースで川を下ったのだが途中で、
彼女達の姿を見つけることはできなかった。
怪異…これもたぶん、そのひとつなのだろう…
季節を司るアイヌの女神…
彼女達はそういう存在だったのかも知れない。
ここはカムイワッカ…神の水を湛える湯の滝だからな…












腹が減ったので羅臼へ向かう途中で入ったウトロの飯屋…
いくら丼とウニ丼に舌鼓を打つ、あの四人と再会した。

「な、なんでお前達がここにいる!?」

「お腹が空いたからに決まっているじゃないですか」

そういう意味で訊いたわけじゃないのだが…


(了)
07/10 21:23
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▼[9]ゼロサム
「そろそろ帰ろうか?」

日がはっきりと傾きが分かるようになった頃、サクが身体を起こしてそう言った。
バイカルとチュクが続き…
マタはマイペースだな…まだ、バスタオルの上でゴロゴロしている。

「親御さん達がまだ、戻ってこないみたいだが?」

「ん?大丈夫ですよ。今、迎えが来たから」

サクが人差し指を立てた手を天へ向けた。
白い脇の下が露わとなり…俺は思わずドキッとなる。
彼女の手に従い、空を見上げると樹木の額縁に囲まれた狭い空に…
灰褐色をした一羽の鳥が飛んでいるのが分かった。
ずんぐりとした体型…広げた翼…独特の…羽の内側に黒褐色で入れられた縞模様…
昼間に大空を飛ぶ姿が見られるとは…

「コタン・コロ・カムイ…」

シマフクロウ(島梟)…和名のシマは隔絶された土地…北海道に棲むことに由来する。
全長60〜70センチ、翼開長175〜190センチ、体重30〜40キロ。
頭部には耳介状の羽角があり、尾羽は短い。
食性は動物食…主に魚類だが、両生類、甲殻類、鳥類、哺乳類なども食べる。
開発により生息地が破壊され、生息数は激減し、天然記念物、野生動植物種に指定される。
アイヌ語ではコタン・コロ・カムイと、集落を護る神と言う意味で呼ばれている。
北海道民でも、野生のシマフクロウを見るのは困難…

「では、私達は山を下りますね。また、お会いしましょう」

「またね♪」

彼女達の声が…周囲の樹木に響き渡りながら降ってくる。
07/10 21:23
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▼[8]ゼロサム
「内地の方ですか?」

「ええ、埼玉から来‥ま…した…」

埼玉が東京の上にあったお陰で、そこから会話が弾んだ。
彼女達は東京の話を聞きたがっていたので、知っている限りのことを教えてやる。
四人は日高町に住む中学三年生で、バレー部に所属していて、
最後の夏休みだから、親友と思い出を作りたくて道東へ旅行にやって来たのだそうだ。
子供だけで来たのかと訊ねると、もちろん親達が同行してくれていると…
大人達はその上にある滝を見に行ったらしい。
打ち解けてくると、彼女達は湯から上がって岩場で休んだり、
ふざけてビーチボールをぶつけ合ったり、照れながらも棒っ切れに布巻きつけみたいな
若い肢体を俺達に披露してくれた。
若いな、と湯に浸かってあいつらが遊んでいるのを見るとも無しに見ていると、
記念に残したいので撮ってくださいとか言われて使い捨てカメラを渡された。
というか、押しつけられた。
カメラを構えてげんなりしている俺の前で、
四人は大はしゃぎで…寄せて掻き集めて谷間を作ってみせたり…いろんなポーズを取って…
これがあと三年…三年後のあいつらだったら喜んでシャッター切ったのだがな…
ひとりが俺のナップザックからライカが顔出しているのを目聡く見つけて、
それでも撮らされた。
俺達も彼女等の記念にとかで被写体にさせられた。
彼女達はお互いの事をバイカラ、サク、チュク、マタと呼び合っていた。
アイヌ語でバイカラは春、サクは夏、チュクは秋、マタは冬という意味だ…
渾名とか愛称なのかと訊くと、コードネームです!と返された。
そのくせ、俺達の名前を尋ねてくるから1号(Aさん)、2号(B)、V3(俺)と答えてやると、
なにそれ変!とか大笑いされた。
それで遠慮がなくなり、近所の気心が知れたガキとおっさんみたいな感じになってな…
ビーチボールでぶつけられた奴が鬼になるとかのボール鬼というのを全員でやった。
木の枝にひっかかったビーチボールを取るのに肩車をさせられたり、
AさんとBは彼女等を背に乗せ飛び込み台代わりをやらされたりもした。
あいつらの足を掴んでジャイアントスイング風に滝壺へぶん投げたり、
ツープラトンのブレーンバスター決めたり、
俺等も大人なのを忘れて本気で、彼女等との遊びに興じた。
それで、散々に遊び疲れた四人は岩場にバスタオルを敷いて、
寝転がって休んでいるのだが…こいつらの親がなかなか…戻ってこない。
何か起きたのかも知れん。
最悪、こいつらを麓まで連れて帰らないといけなくなるな…それから警察か…
仰向けで並んで寝ている四人に目を向ける。
違和感…
彼女等の纏う水着…青、赤、白、黒…偶然なのか、
コードネームの…アイヌ語での四季と水着の色が陰陽五行に照応している。
怪異は自然界の掟を超越しつつも、理に従う…
サク…黒髪をポニーテールに赤いビキニで身長が四人の中で一番高い…
マタ…肩で切りそろえた黒髪に、黒いビキニ…四人の中で一番、発育が良い…
バイカラとチュクは顔つきが違うが、体形は似たり寄ったり…
古代アイヌは夏と冬をそれぞれ独立した一年と捉えていて、
一年の中の季節とは考えていなかった。
夏年と冬年が交互にやってくると考えていた。
彼等の古い神謡に出てくる季節名は夏と冬ばかりで…春と秋が出てくることはない。
北海道の春と秋は短いからな…
もし、彼女等がそうだとしても…俺達を害するような存在ではない…
そう思うが…俺は僅かな警戒感を抱いた。

07/10 21:22
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▼[7]ゼロサム
「全部、聞こえているんですけど…」

「…………………………」

「…………………………」

「…………………………」


二段になった滝から激しく湯が流れ落ちる…
その手前でビーチボールが宙を…放物線を描いて…いなかった。
岩場を登りきり…ついに上から二番目の滝壺を視界内へ捉えた俺達…
そこには、肩まで湯に浸かり…肌を隠して
不信、軽蔑、嫌悪…が混じり合った眼差しで三人の闖入者を見つめる四人の少女がいた。

「誰がメノココタンの住人ですか?」

表情は強張っているが、美…たしかに美だな…全員が十代半ばの…美少女だ。
なんだ、子供(ガキ)かよ…俺達の極限まで高まったリビドー返せ…くそ、期待して損した。
馬鹿みたいな高揚感は消え、風呂に入りたいという欲求だけの枯れた賢者タイムに入る。

女性の声がこんな山の中で聞こえるなんて物怪の類かと思ってと詫びを入れ、
連日…変なことばかり俺達の周りで起きているんでと溜息を吐くと、
私達の所有物ではないのでご自由に入ってくださいと冷たく言われた。
さっそく汗と河水で濡れた服を脱ぎ、トランクスタイプの水着となって湯に足を入れる。

「怖い目に遭っている割りにそれはもう大興奮でこっちへ向かってきてましたね」

まぁ、メノココタン連呼して岩場を登ってくれば…当然、引くわな…
下種の変態野郎に思われても仕方無し。
お嬢さん達の邪魔にならない様、俺達は三人並んで…文字通り肩身を狭くして湯に浸かる。
予想に反して硫黄の匂いも、強酸性の沁みるような酸っぱい匂いもない…
まるで単純泉みたいだ。
別の源泉がどこかにあるのだろうか…湯温は42、3度くらいか…少し熱い。
筋肉の張りばかりか、疲れも引いていく。
手で湯を掬い、顔を洗う。
人心地つくと、彼女達の方から話しかけてきた。

07/10 21:21
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▼[6]ゼロサム
「おはよう諸君。
 今から一時間後、諸君等は世界各国のパイロットと共に人類史上最大の
 作戦を開始することとなる。
 今、人類と言ったが、この言葉は本日より、新たな意味を持つことになる。
 民族人種などの些細な垣根を乗り越え、我々はひとつの目的の為に結ばれる。
 本日は奇しくも7月4日…これも何かの運命だ。
 諸君等は再び、自由のために戦いへ身を投じる。
 圧政や弾圧から逃れる為ではなく、生存を賭けての戦いだ。
 人類が地球に生存する権利を守る為にだ。
 勝利を手にしたなら、7月4日は単にアメリカの祝日であるだけでなく
 人類が断固たる決意を示した日として記憶されるだろう!」

俺はメノココタンにまつわる昔話を以前、読んだことがあるのだ。
アイヌの英雄がどうやってメノココタンの女性を攻略し、
如何にハーレムエンドを迎えたかを…

「我々は戦わずして滅びを受け入れたりはしない!
 我々は生き残る!存在し続けてみせると!
 戦いに勝利した我々は今日を祝うのだ!
 真の独立記念日を!!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』×2

『メノココタン!メノココタン!メノココタン!メノココタン!!』×3

それで、つまり…そういうことになった。







07/10 21:20
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▼[5]ゼロサム
「メ、メノココタンがカムイワッカ川の上流に顕現したとでも言うのか!?」

「日本版…アマゾネス神話…」

「Aさん、日本本土にも女護島の伝説ありますから…
 井原西鶴の『好色一代男』の主人公『世之介』が最終的に向かう土地として登場してるし…」

「そう言えば、玄奘三蔵の『大唐西域記』にも羅刹女が住む国の話があったな…」

「女だけが住む土地の伝説は世界各地にありますよ」

アイヌ神話に登場する女性だけが住み暮らす島『メノココタン』…
春から秋にかけて彼女達の陰部に歯が生え、冬には抜け落ちる。
島へやってきた男達が知らずに女性への侵入を試みると、鋭い歯で噛み千切っていたそうだ。
南方熊楠は、江戸時代末期の蝦夷地探検家『最上徳内』がその島へ渡った折、
伝説通りか刀の鞘で確かめたところ、歯型が付くほどの咬力があったという話を残している。

「ねぇねぇ、せっかくビーチボール持ってきたのだから、トス回しやらない?(*^-゚)v」

「うん!やろやろ!!o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o」

「今、空気入れるから♪ヾ( ~▽~)ツ」

まただ…また、風に乗って…前方から艶かしい女の声が…
俺の脳裏に素晴らしい動画が映し出される…
妙齢の美しい女性達が…はち切れんばかりのボディに布地が極端に少ない水着をまとい、
無邪気にビーチボールと戯れる…遊ぶ…走る、跳ぶ…絡み合う…
千変万化に繰り出される悩殺のセクシーポーズ…寄せる、揺らす、挟む…
色々なものがピチピチで…ゆさゆさで…プルプルで…ポロリもある…

07/10 21:20
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▼[4]ゼロサム
手で額の汗をぬぐい、足を止めて背を反らせて伸びをすると
自分のつく荒い息に混じって、声が聞こえてきた。
疲れからくる幻聴…いや、違う。
この場に不似合いな女の…複数の若い女性があげるはしゃぎ声…
思わず俺は隣にいたAさんと顔を見合わせる。
この先、残る滝は二つ…日本最北にある秘境の中の秘湯…
あの崖とも呼べる岩場を登って、
ここまでやってくる若い女性がいるものだろうか…
いないとは言い切れないが…
疑ってしまう…あれは…連日、俺達を悩ませている…

怪異…なのか?

立ち止まった足が…そこから先へ進めなくなってしまった。
俺達が向かう先から聞こえてくる、楽しそうにはしゃぐ…女達の声…
激しく叩かれる水音…はやく来いと誘っているみたいだ…

「やだやだっ!水着の上がなくなってる!? (;゚听)ノ」

「大変!(゚□゚;)」

誘われてる…絶対に罠だ。
この世に水着の上をナイスなタイミングで流されるような女がいるはず無い。
俺達を誘い込もうとする策略…怪異の張った悪辣な罠だ…
どうする…戻るか…
北海道へ来て連日の怪異に俺達は悩まされてきたのだから…
罠とわかって、敢えて怪異と相見えるなど…

「そこ、流れていっちゃうよ!(≧□≦;)」

「慣れないビキニなんて着るから…(゚ω゚=)」

流された水着の上…現在、手ブラ状態だというのか!?
いかん、騙されるな!
クソ!孔明め…なんて卑劣で狡猾な罠を…その手に乗るものか…
純情な男心を弄びおって…

「私の水着も!?c(>ω<)ゞ」

トップレス…トップレスが二人…こ、これは…アイヌに伝わる…あの伝説…まさか…

07/10 21:19
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▼[3]ゼロサム
知床半島は国定公園に指定され、車の乗り入れが制限されているので、
行けるところまで車を使い、道端へ車を停めて、あとは徒歩となる。
車の陰でトランクスタイプの水着、その上に肌の露出を抑えた服に着替え、
水やファーストエイドキット、靴下二足等、必要な物をナップザックへ詰め込み準備完了。
もちろん熊除けの鈴も忘れずに持っていく。
林道へ入ってまずは、登り口を目指す。
そこからはナメ滝と呼ばれる温かい水が流れる滑りやすい斜面を進むことになる。
川辺で靴を脱ぎ、持参したバスケ用のロングソックス二枚重ねに履き替え、
活火山である硫黄山を源流とするカムイワッカ川の中を遡上していく。
岩がごろごろ転がって足場の悪い川岸よりも川に入ってしまった方が逆に歩きやすい。
左右から張り出した枝葉が重なり合って日光を遮り、
薄暗く気温も体感で二度くらい低くなっている。
生温い水を蹴立ててしばらく行くと、『一の滝』が見えてきた。
水着で戯れる人達へ軽く手を上げて挨拶し、俺達はさらに先へ進む。
温かった川の水がだんだん熱い湯へと変わっていく。
滝壺を迂回し急な岩場…ほとんど崖と呼べる急な斜面を必死でよじ昇る。
梯子も何も無い。
手摺り代わりの鎖やロープがあったが、
遡上の途中で見たものは強酸性の河水の所為で腐食してボロボロになっていた。
無闇に身をゆだねることは出来ない…落ちれば怪我じゃすまない高さを登るのだからな。
足の裏がふやけてぶよぶよだ。
飛沫となって口へ入る川の水はかなり酸っぱい…
いつの間にか、俺達以外に川を上る人の姿は消えていた。
周囲はさらに鬱蒼として、気温もまた…だいぶ下がったようだ。
Aさんに肩を叩かれ、指差す方を見てみると、切立った崖の間…
逆三角形に切り取られた狭い青空の下に海が見えた。
オホーツク海…鯨もやってくる知床の海…
耳に入るのはせせらぎと鳥の声…歩き疲れて荒くなった俺達の息遣い…
ナップザックに付けた熊除けの鈴の音…
人の手が入らぬ原始的な自然景観を残す秘境…野鳥、キタキツネ、エゾシカ…
ここはアイヌの…カムイが統べる世界…人も自然を受け入れねば棲めぬ生物達の楽園…
唯一の例外が、このカムイワッカ川か…
生命を拒絶する毒の川…
俺達は黙々と汗と河水にずぶ濡れとなりながら、ひたすら進む。
気温は十度くらいしかないのではないだろうか…
熱いカムイワッカ川の湯温がそれを緩和してくれている。
あと少しで目的地だ。
07/10 21:18
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▼[2]ゼロサム
知床八景のひとつとして以前から『カムイワッカ湯の滝』は知られていたが、
ユネスコの世界遺産に登録されて後、訪れる観光客が急増した。
それまでは滝壺にも自由に入浴できたのだが、落石の危険性があることから、
厳しい立入規制が行われるようになる。
2005年には転落や落石の危険が更に増したため、適温の滝のうち一番下の
通称『四ノ滝』の滝壺以外は立ち入りと入浴が禁止になり、
シーズン中は監視員が常時見張るようになった。
翌2006年には『四ノ滝』の滝壺に大きな岩の落石があり、
危険がより高まったため、車道から100メートルほどで最初に現れる小滝…
通称『一ノ滝』より上流への立入が禁止された。
この滝壷の湯温は30度ほどとかなりぬるいため、入浴には適さない状態にある。
2012年時点以降、滝へ通じる道道は6月-10月下旬のみ
大型車を除いて通行可とされ、そのうち8月と9月の当該期間中は、
斜里バスのシャトルバスによるアクセスのみが通行可能となっている。
現在、ネットで検索してみると、こんな記事でカムイワッカ湯の滝が紹介されていた。

俺達が行ったのは規制がされていない頃の事である。




07/10 21:17
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▼[1]ゼロサム
屈斜路湖で(●モと間違われる)恐怖の一夜を過した俺達は、
国道391号線を使って北上し、再びオホーツク海へ出た。
海岸沿いを国道334号線で今夜の宿営地のある知床半島へ向かい、
途中でひどい渋滞に遭ったが、昼をわずかにまわった頃にウトロへ到着する。
本日の目的地は羅臼町のキャンプ場だが、
メインイベントはそこから知床半島中央部へ車で行けるところまで行き、
あとは徒歩で川の中を遡上した先にある…秘湯中の秘湯『カムイワッカ湯の滝』だ。

『カムイワッカ湯の滝』は、知床半島のほぼ中央にある活火山の硫黄山を源流とする
カムイワッカ川に温泉が流入して、連続する滝のそれぞれにある滝壺が野趣溢れる
天然の露天風呂となっている。
カムイワッカはアイヌ語でカムイは神またはその類似存在、ワッカは水の意であり、
『神の水』もしくは『魔の水』とも訳されている。
『魔の水』というのは、この川の温泉成分は強酸性で、強い硫黄成分を含むため、
生物が生息できないことからきている。
この川中の野天風呂へ向かうには、全域がヒグマの生息地である知床の山中を突き進み、
さらに川の中を遡上して、上級者向けの難度が高い岩場を踏破しなければならない。

07/10 21:16
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