怖い話投稿板

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怖い名無し
ウシュマイとンミー
自分には霊感がある。
多少の危険も回避出来る自信もある。 

最近そう思うようになったいた。 
それが勘違いと気づくのが遅すぎた。



僕は遠距離恋愛をしている。 彼女の名前は綾。
今回の話は 書くか迷ったが、あの子を忘れない為に書く事にした。


季節はユドゥン(梅雨)が終わり ちょうどカーチバイ(夏至風)が吹く頃だった。


僕は友達の会社の助っ人としてハーリー(海神祭)に参加する事になった。
ハーリーとはハーリーブニ(爬龍船)によるレースの事。 
毎日きつい練習と飲み会で体が極限状態になっていた。


生き物は極限状態になると繁殖能力が増すらしい。


綾は僕の晴れ舞台を見に東京からやってきてくれたが、成績は報告するまでも無い結果に終わった。



それから二カ月程経っただろうか 突然、綾が島にやって来た。
事前に連絡も無しにだ。

何も知らない僕は、いつも通りバイトを終え屋敷に帰ってきた。

部屋に灯りがついている。『ンギー』が戦闘体制に入っている。
僕は咄嗟に泥棒だと思った。

どうせ取る物も無いし 人が来た事に気づいて逃げてくれればと思い おっきい声で間抜けな独り言や歌を歌いながら、少し間を置いて玄関のドアを開けた。


玄関に綾がクスクス笑いながら立っていた。
「いつも、こんな風に帰ってくるの?」
僕は恥ずかしくて顔がまっかになった。

『ンギー』は、臨戦態勢ままだ。

『ンギー』は綾の事が嫌いなのだ。

今夜は拗ねてパナリ(離れ)小屋に閉じこもるだろう。

続く
01/14 14:26
[CA3F]
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▼[26]怖い名無し
最後泣いた
02/25 01:50
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▼[25]香味脂
兄貴 また投稿してよ
03/09 19:26
[PC]
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▼[24]怖い名無し
どことなく赤緑さんの作品に似てる気がしました。もしかして別名義での投稿?
洒落怖に投稿したらいっきに有名になりそう。
田舎の伝統行事や奇祭はよく怖い話の題材になるが、やはり面白い。続きや別の話があれば是非読んでみたい。古い作品を上げて申し上げないです。
11/29 09:24
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▼[23]みかん←→↑↓
女性
赤ちゃんは亡くなっちゃったけど怖い名無しさんが今この話しを書いているだけでも良かったです。
これからもンギーのお話を書いてださい。わたしもまだまだ怖い話を書く腕は素人ですが、頑張ります。
05/19 10:24
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▼[22]怖い名無し
作者さんお元気ですか?新作まてます。
03/17 10:12
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▼[21]亀ヘッド
そう?
02/26 19:05
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▼[20]怖い名無し
素晴らしい作品ありがとうございます。
世の中不条理な事が多いですよね。不謹慎ですが、この作品はもっと多くの人に読んでもらってオカルトの定番になって欲しいと思います。
間違いなく、このサイトを代表する名作です!

10/11 00:07
[HI3G]
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▼[19]JANK STORY
ンギーシリーズの大ファンです。ンギースレを立てたんで一番好きな作品をアゲときます。
作者さん次回作 是非ともお願いします。
09/14 21:12
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▼[18]たちばなさん
男性
怪談師さんと共に大ファンです。 ンギーの活躍が少なくて残念でしたが、題名にンギーってついてないからしょうがないですよね。
ンシュマイとンミーも不気味で良かったです。 登場するキャラやアイテムが独創的で大好きです。 お忙しとは思いますが投稿お待ちしてます 怪談師さんと共に大ファンです。 ンギーの活躍が少なくて残念でしたが、題名にンギーってついてないからしょうがないですよね。
ンシュマイとンミーも不気味で良かったです。 登場するキャラやアイテムが独創的で大好きです。 お忙しとは思いますが投稿お待ちしてます
05/27 12:35
[PC]
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▼[17]スレ主
>>16
すごく励まされました。 
神々と共に‥
考えた事も有りませんでしたが、僕もそう思いたいです。 

ありがとうございます。
02/06 15:27
[CA3F]
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▼[16]えみ
女性
小さな我が子は、何処に行ってしまったのでしょうね。
今、古き神々と共にあるのでしょうか?


投稿直後に拝読したものの、コメントが上手くまとまりがつかず、いたずらに日々が過ぎてしまいました。
私は神々と共にあり、次の新たな神候補となったって思いたい…………。
今は幸せな生活を送っていますとのコメントながらも、それでも折々にそこに居ない誰かを思い出すものです、ヒトは。
それが供養でもあり、教訓でもあり。今を大切にする活力源にもなりますね。
今こうして回顧録として語り部をされている事、、理解しました。
ありがとうございます。
大好きです、語り口、雰囲気等々…。
長々と失礼いたしましたm(_ _)m
02/03 12:33
[SN3N]
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▼[15]怖い名無し
女性
ンギーの人発見
題名がンギーとー○○じゃなかったから見落としてたよ
今回はンギーの活躍は無かったんですね。
とっても興味深い話しでした。
ウシュマイとンミーは意地悪妖怪ですね〜

魅力的なキャラ達とストーリー、語りの雰囲気 全部大好き
次回作も首をなが〜くして待ってまーす。
01/31 16:16
[HI3G]
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▼[14]怖い名無し
>>12
怪談師さんはコメントも素敵ですね ありがとうございます。 

内地と違い島の風習は若者でも畏れ敬いしっかり守られています。 

本当に神や妖怪、霊魂の類いが近い存在でした。 
僕が初めて訪れた頃はテレビの民法放送が始まって数年でしたが、最近はインターネットやテレビの普及で内地の情報が氾濫し、若者達は内地の人間と大差無くなりつつありますが…


>>13
恐怖体験については、ほぼ実話です。
ただ 演出はしてます。 例えば都合よく助けが入ったりとか
あと個人特定されないように人物の設定を変えてます。

今は幸せな家庭ができて元気にやってます。
01/19 20:42
[CA3F]
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▼[13]10
男性
>>11
>でも半分はフィクションなんです。

ちょw マジでww
リアルだから実話だとばかり…
けど、まぁフィクションでむしろ良かったっす
01/19 02:08
[SN3F]
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▼[12]怪談師LV.1
男性
お疲れ様でしたm(__)m
先程、全文拝読致しました。

むしろ、半分もノンフィクションだって事が、凄く怖いです((((°Д°;))

ウシュマイとンミー…とても不気味で恐ろしかったです。
改めて、古くからその土地で言い伝えられている伝承や禁忌は、侮ってはいけないのだと教えて頂きました(>_<)

この件では、色々と大変なご苦労や痛みをご経験されたのでしょう…どうかご自愛下さい。

そしてまた、島の伝承や不思議なお話を、お聞かせ頂ける事をお待ちしておりますm(__)m
01/17 01:17
[P02B]
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▼[11]怖い名無し
>>10

お気遣いありがとうございます。

でも半分はフィクションなんです。
01/16 23:56
[CA3F]
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▼[10]怖い名無し
男性


お子さんのご冥福をお祈りする
両親である作者さんと、彼女さんにも、お悔やみを

礼儀知らずなもんで、もし何か気に触る事があったらスマン
01/16 05:57
[SN3F]
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▼[9]怖い名無し
続き

僕達は無言で帰宅した。
ウシュマイが最後に残した言葉「ファーぬ…」とは、多分 子供は連れてくだったのだろう。

綾が泣き出すと僕も我慢してたモノが一気に崩れ去り涙が溢れだした。


僕が綾を見たのは、それが最後だった。 
それ以来連絡は付かない。 携帯は解約され手紙の返事は返ってくる事はなかった。




自分には霊感がある。
多少の危険も回避出来る自信もある。 
最近そう思うようになったいた。 
それが勘違いと気づくのが遅すぎた。


僕は何一つ守れなかった。 挙げ句の果てに、まだ生まれてもいない我が子をグソーに連れていかれたのだ。


この話は書くべきではないと思ったが、誰かに知って貰いたかった。

生まれてこれなかったけれど、確かに生を受けた僕の子がいた事を。


終わり
01/16 01:34
[CA3F]
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▼[8]怖い名無し
>>7
ありがとうございます。
頑張ります。


続き

もう逃げ場は無い。
僕と綾は自分の意志とは関係なくウシュマイとンミーの前に立つ事になった。

ウシュマイとンミーの手が伸びてくる。 きっと肩を貸すとグーサンウージの代わりとしてグソーに連れて行かれるのだろう。

その時、廊下に面する襖が開いた。 そこには北海さんが立っている。
手には古ぼけたグーサンウージ。
「ほれ持ってけ」とウシュマイとンミーを小突くようにグーサンウージを渡した。

その瞬間 周囲の空気が変わり漆黒の空間が開いた。 ファーマー達は漆黒の闇へと消えて行く。
僕達の身体の自由は戻り その場にへたり込んだ。

グーサンウージを手にしたウシュマイとンミーは綾を掴もうとしたが、オバーの御守りに弾かれ手を引っ込めた。

「ファーぬ…」と言いながら恨めしそうな顔を残し闇へと歩んで行った。
何度も何度も此方を振り返りながら。


僕達は助かったのだ。



北海さんは万が一の為、側溝の流れに沿ってグーサンウージを探しに行ってくれていたのだ。

全ては北海さんとオバーのお陰だ。 僕は何も出来なかった。


綾の顔が冴えない。 この時、すでに自分の身体に起きた変化を感じていたのだろう。
僕は、ただ怖がっているだけくらいにしか思っていなかった。


北海さんはウクリィピー(精霊送り)の ユール(夜)が明けるまで一緒にいてくれた。

ストゥムディ(朝)になると、やっと助かった実感が湧いてきた。


北海さんとは朝食を共にしお別れした。
僕と綾は飛行機でドゥナンを後にした。


イシャナギに着くと綾は病院に行きたいと言うので、そのまま病院に向かった。

綾が心配しているのは、赤ちゃんの事だった。

病院で検査をして貰うと赤ちゃんは跡形も無く消えてしまっていた。
妊娠していた形跡すら無くなっていた。


続く
01/16 01:12
[CA3F]
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▼[7]怖い名無し
続きがだいぶ気になります

頑張ってください
01/15 19:58
[SH3I]
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▼[6]怖い名無し
続き

北海さんは1時間程で帰って来た。 動けない僕に代わってサトウキビを杖っぽく仕上げてくれた。

昨日初めて会った僕達の為に ここまでしてくれるなんて感謝のしようがない。



もうすぐ日が暮れる。 暗くなると、ウシュマイとンミーがやって来るだろう。


今更だが、島を離れるべきじゃなかった。 これまで沢山の不思議な体験をしてきたんだから『グソーに連れて行かれる』と言うのも信じるべきだった。
すぐにオバーに相談しておけば良かった。


逆に不思議な体験を数多くしていたから油断したんだ。
危険を切り抜けられていたのは自分の力ではなく 周りの、みんなに助けてもらっていだけだったんだ。



もう辺りは暗くなって来た。 綾は布団に寝かし、方言教室のオバーに貰った御守りを持たした。
僕は綾の前に座りグーサンウージを握りしめた。
周囲を警戒しキョロキョロしていると部屋の隅に人影を見つけた。
ウシュマイとンミーだ。
ウシュマイとンミーの顔は木の面ではない。
本物だ! 本物のグソーの使いウシュマイとンミーだ。

いつも見慣れているアンガマ面のファニーな印象は無い。 歯の抜けた間抜けな顔が今は笑えない。

僕は勇気を振り絞って グーサンウージを差し出した。「これを持ってグソーに帰れ!!」
精一杯の虚勢を張った。

ウシュマイとンミーは不気味な顔で何かを言い出した。 何を言ってるのか分からない 古いヤイマムニ(この地方の方言)なのか 呪文なのか?

だが、それが僕と綾をグソーに連れて行く為の儀式だと言う事はわかった。 やはり ウシュマイ達が持っていたグーサンウージじゃなけゃダメだったんだろう。

僕達の身体は自分の意志で動かす事が出来なくなっていた。

このままグーサンウージの代わりになりグソーへ連れて行かれるのだ。

いつの間にか僕達はファーマーに囲まれていた。


続く
01/15 17:43
[CA3F]
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▼[5]怖い名無し
続き

僕はグーサンウージを探しに 昨日 ウシュマイ、ンミーとすれ違った場所に戻ってきた。


グーサンウージとは、サトウキビで作った杖の事だ。 そう昨日ここでウシュマイとンミーが捨てて行ったのが、それだった。


ウシュマイとンミーは グーサンウージが無いとグソーへの道が歩けない。 グーサンウージを捨てたのは、綾を杖代わりに連れて行くつもりなのだろう。

逆に グーサンウージを突き返してやれば、大人しくグソーへ帰るだろうと言う寸法だ。


僕は側溝を探したが、見つからない。 周辺も隈無くさがしたが見つからない。

もう日が落ち掛けている。 焦ってオバーに電話すると、グーサンウージは 90cm程あるウージ(サトウキビ)なら何でも良いと言う。


僕は慌ててサトウキビ畑へ走った。
畑に着くと サトウキビが薙ぎ倒されいる。 最近来た台風のせいだろう。
まあ探せば90cmの真っ直ぐな部分は簡単に見つかるだろう。

暗くなって来たが、携帯のライトがある。
ふと後ろが気になり 向くと花笠を被った顔の無い者達が立っていた。 ファーマーだ!


覚えているのはここまで。 気が付くと宿で寝ていた。 横には綾が寝ている。 時間は昼を過ぎていた。


どうやら北海さんが運んでくれたらしい。

北海さんによると、診察後、綾を病院から連れて帰ると僕がいなかった。
宿の人にウージ畑に行ったと聞いて 探しにきてくれたのだ。

もうウクリィピーだ。 飛行機も、もう飛んでしまった。 
イシャナギに帰れば『ンギー』や屋敷が護ってくれるが もうイシャナギに帰る手段は無い。 


後はアンガマトゥヅミが終わるまでにグーサンウージを届ける他 助かる道は無い。

起きようとすると、頭がガンガンする。 強烈な吐き気が襲う。

綾が「私のがうつっちゃったね 安静にしてなけゃダメだよ」と言っている。
「違うんだ綾 これはウシュマイ‥」
「知ってるよ 北海さんから聞いたから でも寝てないと」

綾の忠告通り安静にする事になった。 そのかわり北海さんがサトウキビを取ってくれる事になった。


寝ていると段々 身体の自由が効かなくなってきたような気がする。
もしかすると僕と綾のグーサンウージ化が始まっているのかも知れない。

続く
01/15 00:32
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▼[4]怖い名無し
続き

次の朝 綾の体調が悪くなった。 僕は最初飲み過ぎだろ と思った。

喉が乾くと言うのでア〇エリアスを買ってくると2Lを一気に飲み干した。

熱をはかると40度近くまで上がっている。 吐き気も凄くて、洗面器が離せない状態だ。

宿の人が病院まで乗せてってくれると言うので、お願いしたが、病院に行っても無駄だと思った。

僕は見てしまったのだ。
アカヨーラ(デイゴ)の向こうに、此方を向いて立っている ウシュマイとンミーを…

昨日感じた違和感はこれだった。 ドゥナンのアンガマーにはウシュマイとンミーはいないのだ。 
奴らはきっとグソーからの使いだ。


取り敢えず、綾を病院まで連れて行き 僕は方言教室のオバーに電話しオバーに事のあらましを話した。

オバーの話しでは、やはり綾をこのままほっておくとグソーに連れてかれるそうだ。 

今日はナカヌヒー(中日)だから大丈夫だが明日のウクリィピー(精霊送り)に一緒に連れて行かれる。 

回避するにはアンガマトゥヅミ(打ち上げみたいな感じかな?)までに ウシュマイとンミーにグソーに帰ってもらわなくてはならない。


病院には、心配して付いて来てくれた北海さんを残し、僕は宿へと戻った。

こうゆう時、ヤイマの風土は頼もしい。 内地で「あの世が云々 霊があーだこーだ」なんて言っても信じてもらえないがここはヤイマ。
北海さんにありのまま説明すると、何も疑わず信じてもらえた。


北海さんにはオバーに貰った御守りを渡しておいた。 島ではオバーがオン(御嶽)でウートートー(拝み)をしてくれている。

綾の守りは今日の所大丈夫だろう。 後は僕がある物を見つけてくれば解決する、簡単だ。

ある物とはグーサンウージ。 これをウシュマイとンミーに渡せばミッションクリアだ。

グーサンウージについては後で説明するとして、取り敢えず島を出る段取りをする。 

空港に電話し明日の飛行機を予約しておく。 1日1便か2便しか無いが予約は取れた。

イシャナギに戻れば『ンギー』もオバー達もいるから安心だ。 

僕は帰る段取りを終え グーサンウージを探しに行った。 場所は分かっている 簡単だ。


続く
01/14 15:12
[CA3F]
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▼[3]怖い名無し
続き

外海に出ると尋常じゃない程揺れる。
落差数mという揺れかたをする。 これがゲロ船と言われる所以である。
ゲロで済まない時も多々ある。 しっかり掴まってないと天井に叩きつけられ、床に落下して骨折なんて事もしばしば。
そんな船に妊婦を乗せるなんて、今考えると馬鹿な行為だったが、その時は気づかなかった。

まあ その日は揺れはそれ程キツくなかったから良しとしよう。


何事もなく島に到着。
今夜の宿は以前泊まった事のあるドミトリー。 予約はしてないが、たぶん大丈夫だろう。
宿に電話すると宿泊OKだ。


宿に着くと結構たくさんの人がいた。 荷物を置きユンタク(お喋り)部屋に行くと、年配の男性に声をかけられる。

なんと北海道からアンガマーを見に来たそうだ。
やたら「なまら〇〇」と言っていたのが印象的だ。 彼は『北海さん』と言う旅ネームを持っているそうだ。

北海さんに誘われ 近くにアンガマーを見に行く事になった。


ドゥナンのアンガマーはイシャナギのとは、ちょっと違う。 ウシュマイとンミーは出てこない。 ファーマーが伝統舞踊を唄って踊るだけ。(うろ覚えなんで正確な情報ではありません)

ヤイマの離島を周り各島のアンガマーを写真に収めているんだそうだ。 北海さんはとても詳しくて色々教えてくれる。
しかし目の前のアンガマーをそっちのけで熱く語るのは少しめんどくさかった。

デジカメの写真を一枚づつ丁寧に解説してくれ、もうアンガマーの事はすっかり忘れ、今までの旅の記録を語りだした。


まだ話し足りないようで居酒屋に誘われた。 奢ってくれるそうだラッキ〜♪
実は僕と綾は大酒飲みの大喰らいなんです♪ 大丈夫かな?


居酒屋に行く道中 ファーマーの一行とすれ違った。 ウシュマイとンミーを先頭にサトウキビを杖代わりに黙々と歩いている。

僕達の横をすれ違う瞬間サトウキビの杖を側溝へと投げ捨てていた。
僕は「さっきの舞踊素敵でした」と言うと何も言わず立ち去って行った。
あれ 何かおかしい‥?? 違和感を覚えたが、その時は何かは分からなかった。

僕らは何か感じ悪いねとか言いながら居酒屋へ向かった。
続く

01/14 14:45
[CA3F]
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▼[2]怖い名無し
続き

アンガマー隊は無作為に選んだ民家の中に許可なく入って唄って踊るのだ。 見物人も便乗して入る事が出来る。

*現在は事前に入る家は決まっていて許可を取っているみたいです。


僕らが到着すると、質問タイムになっていた。

基本 ファーマーが質問し ウシュマイと ンミーが面白可笑しく答える。

見物人も質問しても良いが、顔を見られると グソーに連れて行かれるので、顔をかくさなくてはならない。


そんなルールを知らない綾は元気良く手を挙げて質問してしまった。

本来なら顔を隠さない相手からの質問には答えないのだが、運の悪い事に ド定番の質問をしてしまった。

「グソーからは、どうやって来たんですかぁ?」
間髪入れず ウシュマイは「JTAに決まってるさぁ!!」  

JTAとはヤイマに乗り入れる数少ない航空会社の名前。 これを言うと大爆笑になる鉄板の質問なのだ。

定番であるが故 咄嗟に質問を返してしまった。

まあ 顔を見られたら グソーに連れてかれるなんて誰も信じていないけど。


楽しい時間はあっと言う間に過ぎ お開きになった。

屋敷に帰ると『ンギー』が玄関で出迎えてくれた。 さっきとは打って変わって静かだ。

明日は水曜日。 ドゥナン行きのフェリーの出航日だ。
綾の希望でドゥナンに行く事になった。

ドゥナンに行くのは僕は二回目、ヤイマに移住する前に行った事があるが良い思い出は無い。


次の日 出発する時『ンギー』が大騒ぎしいた。
綾には『ンギー』の事は話してないので、知らんぷりしていた。


そのまま、ほっとこうと思ったが旅行中 屋敷にずっといるのは可哀想だし外に出してやった。

『ンギー』は何とか旅行に行かせないようと頑張っている。
相当 綾にヤキモチをやいているんだね。


『ンギー』はフェリー乗り場まで付いて来たが ここから先には行けない。 『ンギー』はこの島からは出れないのだ。

『ンギー』すぐ戻ってくるからね。 


通称ゲロ船は、定刻通り出航した。 これから外海に出てドゥナンに向かう。 外海が凪ぎてれば良いのだが。

続く
01/14 14:37
[CA3F]
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▼[1]怖い名無し
続き

食卓には美味しそうな料理が用意されている。
外からは三線の賑やかな音色。
ムード満点だ。

しかし他の人には聞こえないが、残念な事に僕には『ンギー』の不快な鳴き声が聞こえる。
『ンギー』の精一杯の意地悪なのだろう。


綾の料理は最高に美味い。 いらない情報だが、自慢しておく。 


食べながら他愛の無い話をしていると、綾が急に真面目な顔になった。
「大事な話があるの…」
僕は数少ない恋愛経験から、この重たい雰囲気は別れ話だと推測した。

「何?」平静を装い返事をした。

長い沈黙の後「あのね… #*§◇が、できたんだ…」
「へ?」

よく聞こえなかったけど、何かができたんだよね?
別れ話だとばかり思っていた僕は【好きな人ができた】 だと思った。

「分かった 潔く身を引くよ…」

「? 何言ってんの 身を引くって?」
「え? あれ 好きな人ができたんじゃ‥?」
「バカ! できたのは赤ちゃん!」
「エーーーッ!!」

とんだ勘違いだ(汗)
僕は別れ話じゃなかったのと赤ちゃんができたダブルの喜びをもらった。
「やったー!! マジで!! マジで!!」
「うん ちゃんと病院で検査したよ」

時期的にハーリーの時に大当たりしたみたいだ。


綾は、この島で暮らすのを希望している。
勿論OKだ。 賃金は安いが物価も安い。 なんとかなるだろう。
これから忙しくなりそうだ。


三線の音がさっきより近くになっている。
楽しげな唄も聞こえてくる。 まるで二人を祝福してくれているようだ。

「今日って何かの日?」
綾に聞かれて思いだした。
今日は『アンガマー』だ。
『アンガマー』とは、この地方の旧盆で、ウシュマイ(翁)とンミー(姥)がグソー(あの世)から、ファーマー(子孫)ん連れてやってくる行事だ。


内容はウシュマイとンミーの面をつけ、その後ろを花笠をかぶり布で顔を完全に隠したファーマーが唄い踊り練り歩く。

うろ覚えだが、そんな感じだったと思う。


一見不気味だが、面白い行事だ。
近くだし、僕らは見学に行く事にした。


続く
01/14 14:31
[CA3F]
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