MH小説・日記


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◆[35]無名
 ランスロットを中心に、円を描くようにモルドレッド、トリストラム、そしてガウェインが戦っている。
押し寄せるイモータルの波を決して円の中には入れまいと。
一体、また一体と崩れ落ちたイモータルの身体が砂に変わっていく。

「I sleep in the dream. 」
 ──私は憧憬以外を抱かない──

 ランスロットにとって憧れることが、尊ぶことが、愛することが全てで、それ以外は何も出来ない。

「I awake while getting up. 」
 ──私は切に望む──

 ランスロットの魔術もそういう感情から生まれたものだ。
魔術は個人の願いを具現化したようなもの、言うなれば理想のカタチ。

「The sky is far, the past is far, and the fantasy is far. 」 ──しかし、彼は遠い、あまりにも遠く、手に届かないほどに遠い──

 分かっている。
分かっている。
でも、私にはこれしかないことも分かっている。

「The start did not have the one.
Therefore, I hope. 」
 ──絶対に届かないあの人── ──だから、私は望む──

 あの炎の世界で出会ったあの人。
私に道を見せてくれたあの人。
愛しい、愛しい、狂おしいほどに愛しいあの人。


「Give the wing to me, that flies over the fastest sky.
Give the wing to me, that can be done by the firmest steel.
Give the sword to me, that is the strongest, ultimate sword.」
 ──彼が欲しい、何よりも尊い彼が──
 ──彼が欲しい、何よりも美しい彼が──
 ──彼が欲しい、私は捧ぐ、究極の愛を──


「全員!下がれぇ!」

 そこの詠唱まで聞いてガウェインが叫ぶと同時に一つの玉を空中に投げた。
少量の火薬が詰まったそれはパァン!という大きな音を立てて炸裂する。
それと同時に、町の数ヶ所で戦っていた円卓のメンバーは全員全速力で後ろに下がっていく。

「I hope the wish that transcends everything. 」
 ──愛を下さい、何よりも勝るたった一つの愛を──

 最後の詠唱。
あとは、そのカタチを示すだけ。

「"Art of paradox."」
 ──“鏡は私を映さない”──

 魔力を練った剣を、腰を落とした構えから振り抜く。
光速を超える一瞬にも満たぬ、あり得ない速さの剣技が完成する。
究極の一太刀、必殺の一撃、時よりも速い、世界すら斬り裂く、矛盾より生まれた魔剣。
 町に、巨大な一文字が刻まれた。
01/27 19:17
[N08A3]
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